私がGiorgioに教わった一番最初の料理は、トマトソース。シンプルなようで奥が深く、Giorgioが作るものと全く同じになるまで何度も作りました。本当に美味しいトマトソースがあれば、それを茹でたスパゲッティに絡めるだけで夢のように美味しいパスタ・ディッシュが出来上がります。

上手に作れるようになってからは、嬉しくて美味しくて週に何度もパスタを作るようになってしまいましたが、さすがにそんな不摂生を続けるわけには行かず、今は週に1回までと決めています。

回数が少ないからこそ、より美味しく頂きたいと思うのが当然で、常により良いパスタを探しては試し、そのパスタに一番合うソースを考え、週に一度のご褒美を堪能してします。

中でも、今現在デルーカ家で一番お気に入りのパスタ3つを紹介します。

1 CiprianiのPappardelle/Tagliatelle/Tagliolini

我が家では、パスタのメインはソースであって、パスタそのものはそのソースを美味しく頂くためのサポートと考えています。なのでパスタはできるだけ軽いもの(=薄いもの)を選ぶようにしています。ヘビーなものを使うと、パスタばかりを食べているような気分になるし、無駄にお腹も膨れ、もちろん身体にもよくありません。

市場に出回っている平麺のドライパスタのほとんどは、私の理想よりもヘビーなものばかり。そんな中、他にはない薄さで一線を画しているのが、ヴェネチア生まれのレストラングループ、チプリアーニが作るエッグパスタです。今回写真で紹介しているのは平麺エッグパスタの中でも一番幅の広いパッパルデッレですが、パッパルデッレより幅の細いタリアテッレ、そしてさらに細いタリアリーニも同様に薄くて美味。

ドライの状態だと紙のように薄く、調理後は歯ざわりが繊細でソースの良さを引き立ててくれます。また、薄いおかげで茹で時間も短くて済み、パッパルデッレでも4分、タリアリーニになると2分で茹で上がるのは、嬉しいおまけです。

私は普段ソーホーのDean&Delucaで購入していますが、Ciprianiウェブサイトからも購入可能。日本での取扱い店は残念ながら見つけることができなかったので、ニューヨークやイタリアのお土産にどうぞ。

パッパルデッレのナポリ・ジェノベーゼ

2 Rustichella d’AbruzzoのPasta Integrale di Grano Duro (全粒粉スパゲッティ)

普段から健康的な食事には気を使っていますが、健康に意識しずきて食のクオリティを妥協することは、我が家では絶対に御法度。全粒粉のパスタを試しては、もそもそした食感や癖のある風味にがっかりするという繰り返しを続けてきました。

全粒粉で美味しいパスタは不可能なのかと諦めかけていた時に出会ったのが、ルスティケーラ・ダブルッツォの全粒粉スパゲッティ。

ルスティケーラは、伝統的な製法でパスタを作る職人的なメーカー。大量生産では主流となったテフロンの型は使わず、昔ながらの銅型を使用しているためパスタの表面がザラザラし、ソースが絡みやすいのが特徴です。私たちも、ルスティケーラのパスタを長年愛用しており、中でもキタッラ(スパゲッティの一種)やガルガネッリ(エッグパスタを筒状に丸めたショートパスタ)がお気に入りです。

そのルスティケーラが作る全粒粉スパゲッティは、一般的な全粒粉パスタにあるざらっとした歯ざわりがほとんどなく、代わりに小麦の香ばしさがとても豊か。食感は、モチっとする精白粉で作ったパスタには敵いませんが、その香ばしさが本当にやみつきになる美味しさで、最近はこの全粒粉パスタばかり使っています。ルスティケーラはもともと全粒粉パスタのみを作っていたとのことで、納得のクオリティです。

これも私は普段ソーホーのDean&Delucaで購入。オンラインだとGranato他多数のウェブサイトで購入可能です。日本ではルスティケーラのパスタは数種販売されていますが残念ながら全粒粉は見当たりませんでした。

全粒粉スパゲッティのトマトソース

3 EatalyのPork&Veal Agnolotti

昨年2店舗目もオープンした、ニューヨークでは大人気のイータリー。そこで販売されている生パスタの中でお気に入りなのが、豚肉と子牛肉が入ったアニョロッティ(ラビオリのように具材が入った小さいパスタ)です。ラビオリやアニョロッティも、パスタそのものが薄くないと具材とのバランスが悪くなってしまいますが、このイータリーのアニョロッティはそのバランスが抜群。お肉の旨味もちゃんと出ていて、写真の様にシンプルなセージバターソースだけでとても美味しく仕上がります。

豚&仔牛肉のアニョロッティ、セージバターソース

[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]