以前、デルーカ家でよく食べる3つのチーズというのを紹介しました。この3つに変わりはありませんが、今回は、特に最近よく食べているお気に入りチーズを3つ紹介します。

1. ペコリーノ・ディ・ピエンツァ (Pecorino di Pienza)

イタリアはトスカーナ地方にある、世界遺産にも登録されている小さな町、ピエンツァで作られているペコリーノチーズです。

ペコリーノは、羊のミルクで作られるチーズ。ペコリーノといえばペコリーノ・ロマーノが最も有名ですが、塩気のかなり強いペコリーノ・ロマーノに比べて、このピエンツァ産を含むペコリーノ・トスカーノは塩気が少なく、そのまま食べるのに適しています。ペコリーノ・トスカーノはもともと好きでよく食べますが、このピエンツァ産のペコリーノに出会った時は、その美味しさに衝撃を受けたほどでした。濃厚な塩味がとても奥深く、口の中に旨味がジュワッと広がります。

ペコリーノ・トスカーノは、熟成期間の短いものからフレスコ、セミスタジョナート、スタジョナートと区別されますが、好みはセミスタジョナート。フレスコはまだ柔らかくて食べやすいですが、セミスタジョナートのような味わいはありません。スタジョナートになってくると、塩気がかなり強くなってきます。

実はニューヨークでは、イタリアで食べたような感動的なクオリティのものにはまだ出会えていませんが、それでも十分に美味しいペコリーノ・ディ・ピエンツァは手に入ります。取り扱っているお店はかなり少なく、これまでのところEssex MarketにあるFormaggio Kitchenと、Eatalyのみで見つけました。それでも必ずあるわけではないので、いつも見つけたらラッキーと思いながら購入しています。

ペコリーノ・ディ・ピエンツァ (Pecorino di Pienza)
ペコリーノ・ディ・ピエンツァ (Pecorino di Pienza)

2. プティ・バスク (P’tit Basque)

ペコリーノ・ディ・ピエンツァが世界で最も古いチーズの1つであるのに対し、プティ・バスクはたった20年前に生まれた新しいチーズで、これも羊のミルクからできています。名前の通りフランスのバスク地方で作られ、新しいとはいえ昔ながらの技法で作られています。塩分と甘みのバランスが良くてとても食べやすく、風味も豊か。セミハードで適度な弾力があり、毎日でも食べられるとても美味しいチーズです。

ニューヨークでは、どのスーパーにも置いてあるというわけではありませんが、比較的見つけやすいです。これまでにDean&DelucaUnion Marketなどで購入しました。

プティ・バスク (P'tit Basque)
プティ・バスク (P’tit Basque)

3. テット・ド・モワンヌ (Tête de Moine)

テット・ド・モワンヌはスイス生まれの、牛の生乳によるセミハードタイプのチーズ。表面はウォッシュタイプのチーズのような色味と強い匂いがあり、普通にカットしただけでは、少し味や香りが強過ぎてしまいます。そこで専用のジロールと呼ばれる削り機で花びらのように薄く削ることによって、マイルドになり、濃厚な味わいが口の中でふわっと溶けるようにいただけます。

ちなみにテットとは頭、モワンヌは修道士という意味で、つまりこのチーズ名は「修道士の頭」という意味。この由来には諸説があり、チーズを上部から削る様子が当時の修道士の丸く剃った頭頂部に似ていることから名付けられたとも言われています。

今回の3種の中では一番手に入りやすいチーズですが、なぜか冬場のほうがよく見かけます。

テット・ド・モワンヌ (Tête de Moine)
テット・ド・モワンヌ (Tête de Moine)
テット・ド・モワンヌ (Tête de Moine)
テット・ド・モワンヌ (Tête de Moine)

[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]