ブランディングとは

前回の「日本と世界のデザイン観の違いについて」に引き続き、Ikuよりブランディングについてお届けします。


2. ブランディングとは何か

ブランディングと聞いた時に、あなたは何を思い浮かべますか?
今まで私たちがお話ししてきた中で、多くの方がブランディングと混同してしまっているのが、「ロゴ」「VI(ビジュアル・アイデンティティ)」「CI(コーポレート・アイデンティティ)」のこの3つです。

ロゴ

ロゴというのは、会社名や店舗名、商品名、組織名などを文字をベースとしてデザインしたものや、それらのコンセプトやビジョン、意味などを可視化、図案化したシンボルやマークをデザインしたものです。ですので、ロゴというのは純粋なグラフィック要素の呼称となります。

VI(ビジュアル・アイデンティティ)

ビジュアル・アイデンティティというのは、会社や店舗、商品や組織などのコンセプトや理念などを、ビジュアルに関する全ての構成要素(ロゴ、使用する書体、色、写真、イラストレーション、レイアウトなど)で視覚的に表現してシステム化したものです。ですので、先ほどのロゴはこのビジュアル・アイデンティティの主要な要素の一つ、ということになります。

CI(コーポレート・アイデンティティ)

デザインの知識のある方が特にブランディングと混同されているのが、このコーポレート・アイデンティティ。コーポレート・アイデンティティは1930年代にアメリカから始まり、日本では1970年から導入されたマーケティングの概念で、 企業の主観をベースにしたものです。企業の理念、特性、事業内容、方針など経営にまつわる事柄を、企業の目線から発信、社会と共有できるように体系化したもので、これは先ほどのビジュアル・アイデンティティも内包されていますが、CIは『企業のメッセージを伝える』というゴールがありますので、そのゴールを目指したビジュアル・アイデンティティはもちろんのこと、『伝える』ことに必要な、スローガンやコピー(文章・文体の表現方法)などのビジュアル以外のコミュニケーション手段の体系化も重要な要素になっています。

ブランディング

ブランディングとは、時代や環境、顧客ニーズを考えながら、商品/サービスなどのもつ『らしさ=個性』を引き出し、価値を作り上げ、お客さまに与える総合体験の全てにおいて正しく演出し、伝わりやすくデザインすることです。

そして、ブランディングの最終目的は、「企業価値」を向上させ、お客様のロイヤリティを獲得する事。いわば、お客さまに信頼してもらい、ファンになってもらうことです。今までは、実質的価値(商品、サービス、品質、性能など)を向上して、それを企業の視点から分かりやすい形にして(コーポレート・アイデンティティ) 発信していけばよかったのですが、現在のようなモノが溢れている時代では、実質的価値を向上させるということは『できていて当たり前のこと』とみなされ、そこで差別化を図る事が難しくなってきました。そこで起こるのが価格で差別化を図る価格競争。それでは品質を上げ、価格を下げるという血みどろの戦いになってしまいます。そうではなく、その企業の個性や特性をクリエイティブに引き出し、時代やお客さまのニーズををふまえた上での新しい価値=情緒的価値(デザイン、ビジョン:環境対策、地域活性化や社会貢献など、商品・サービスを新しい切り口でみること)で他社と差別化し、実質的価値を含むすべてをお客様に伝わる形にすることが ブランディングの醍醐味で、こうして他の企業にはない、自分だけの『個性や強み』を伸ばす価値の付け方をするということは、競争相手のいないマーケットで自分らしくビジネスができるということにつながっていくのです。

[Photo and styling by Hitomi Watanabe Deluca]