今回著書を出版する上で、表紙のデザインである装丁も私たちが担当しました。今回は、そのカバーデザインが完成するまでのプロセスを紹介します。

最初に書籍出版のお話をいただいた際、HI(NY)のウェブサイトなどを前もってご覧になられた編集者の古下さんから、「HI(NY)のブランドカラーであるピンクを帯にするといいですよね」というご提案をいただきました。「いいですね!」と口を揃えた私とIkuは、そのアイデアを採用させていただくことにしました。

作業前に出版社の方が送ってくださったのが、書店の写真。実際にこの辺りに置いていただく予定です、と添えられた画像は、とある書店のビジネス本が並ぶ一角の写真でした。それぞれの本のデザインは決して悪くはないのですが、ほとんどの本が、目立たせることを重要視していることが見て取れました。1日に発刊される書籍数が400冊と言われる世の中ですから、その中でいかに人の目に留めてもらうかを図るのは当然のこと。けれど、そのどれもが主張が強いと、それが一般化してしまい、逆に目立たなくなるという現象が起こるのも事実。ビジネス書としての表紙デザインの最低ルールはあるのだろうとは予測しましたが、とりあえず気にせず自分たちの思い描くデザインで進めようと話しました。

出版社さんにいただいたコピーを使ってまず最初に提案したのがこの2つ

ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと

ちなみに英語のタイトルは、日本語のタイトルが決定した後に私たちが訳したもの、つまり正式なタイトルの一部ではありません。それでも訳してカバーに入れ、尚且つ一番大きく入れようと思ったのは、色々理由がありますが、最大の理由は、私たちが英字の扱いの方が断然慣れていたから。英字をメインにすることで、より私たちらしい自然なデザインになると思ったからでした。

ところが、何となく予想はしていましたが、「ローマ字が大きいと、なかなか手に取ってもらえない」という出版社さんのご意見をいただき、この後、数回の修正をかけてじわじわと、でも確実に小さくなっていったのでした…。

文字サイズやレイアウトは細かく紆余曲折を経ましたが、最初の2案から最終案に至るまで変えなかったことの1つに、タイトルの文字一部をあえて帯にかかるようにした点があります。最終案でいう「Winning in the Global Market」の箇所で、帯の上端が文字を横に切るようにレイアウトしています。これは、抽象的ですが「中身は同じものでも、その伝え方を変えるだけで見え方が変わる」というブランディングのエッセンスをここで表現しています。

デザインを修正していく上で、本が実際本屋でどのように見えるのかを検証するため、最初に送っていただいた本屋の写真を使って、モックアップも修正毎に作成しました。平積み本のうち1つを自分たちの本と見立て、自分たちのデザインをフォトショップを使って配置しました。文字の大きさの確認など、非常に有効なプロセスでした。

帯コピーの修正も合わせ、以下のような変移で最終形へとたどり着きました。

ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと

今回デザインするにあたって、最初にIkuと決めたキーワードは以下の通り。ちなみにこれは、ブランディングでいう「ブランド・パーソナリティ」のプロセスと似ています。

ニューヨーク

タイトルにニューヨークと入っているくらいなので、ニューヨークらしい雰囲気を出したいと思いました。

上品

前述の通り、多くのビジネス書に欠けているものに「上品さ」があります。それを大事に。

女性らしいしなやかさ

ビジネス書の著書もデザインも女性、というのはそれほど多くないはず。女性ならではのしなやかなデザインを心がけました。

フェミニン&マスキュリン

とは言ってもただフェミニンなデザインという意味ではなく、マスキュリンとのバランスが重要。帯がピンクで、男性が手に取りにくいのでは?という懸念がすでにあったため、書体やサイズ、配置など考慮しながらフェミニンな印象になりすぎないよう気をつけました。

他のビジネス書籍に囲まれて目立たなくても、何メートルも先からタイトルが読めなくていいので、10年後に見たときにも美しいと思えるデザインを心がけました。

*大変ありがたいことに、増刷をしていただけることになりました。お手に取ってくださった皆様、本当にありがとうございました。

なお、今月22日に大阪でまたトークイベントをすることになりました。Ikuと登壇しますので、ぜひお越しくださいませ。

2019年6月22日 (土)
14:00~(開場13:30~)
会場 CREA/Me(クリーム)
浪速区桜川3-2-1 新桜川ビル202
料金 3,000円
詳細:
https://www.facebook.com/events/314420642783793/