アメリカ人は政治の話をするのが大好きですから、ここ1ヶ月はもちろんトランプ大統領弾劾の話題で持ち切りです。2週間に渡る公聴会も今週無事終え、人々の関心はますます高まるばかり。Giorgioが自他共に認めるポリティカル・ジャンキー(政治ニュース中毒)なので、我が家での会話も弾劾関連が中心になっています。

アメリカで最後に弾劾裁判があったのが、ビル・クリントン元大統領に対するもので、約20年前。私自身が渡米する以前のことだったので、弾劾プロセスそのものに馴染みがなく、今回のトランプ弾劾の流れでも疑問点や不明点がいくつかあり、自分なりに調べてみることに。

プロセスが複雑なため、フローチャートとして図で説明しているメディアも多く、それがとてもわかりやすかったので、私も英語と日本語併記で作成してみることにしました。

なお、これを作成するにあたって、NY Times、BuzzFeed、USA Todayなどの図を参考にさせていただきました。

トランプ大統領弾劾のプロセス

 

さらに、これまでの流れで私が抱いた疑問点と、それぞれの私なりの回答もまとめました。

ロシア疑惑を筆頭に、トランプには弾劾されるべき行動や言動がこれまでにも多くあったのにも関わらず、今回まで民主党が弾劾調査に二の足を踏んでいたのはなぜか?

まずロシア疑惑に関していえば、弾劾調査をすべくレベルではあるものの、トランプが大統領になる前の出来事であること、つまり憲法に反しないことを宣誓する前に起こったことであるため、調査に躊躇した議員が多かった。また、ロシア疑惑が疑惑で終わったことで、トランプをより無敵な存在にのし上げてしまった。下手に弾劾調査に踏み込んだところで、もし十分な証拠が集まらず訴追できないようなことがあると、トランプをよりパワフルなものとし、そして彼の横暴振りにも拍車をかけてしまうことになる。そうなることで次の選挙で民主党が負けてしまうことを懸念したため。

では、今回のウクライナ疑惑で弾劾調査をすることになったことで、その他の犯罪行動についても合わせて弾劾調査をすれば良いのでは?

合わせて調査することも可能ではあるが、アメリカ一般国民の関心度や理解度を高めるために、ウクライナ疑惑にフォーカスするべきだと考えている。けれど、弾劾条項にはウクライナ疑惑以外の項目も組み込んでくる可能性は高いかもしれない。

共和党が多数派の上院が行う弾劾裁判で、トランプが有罪の判決を受ける可能性はゼロに近い。それでも民主党が弾劾調査を始めた理由は?

トランプがウクライナ大統領と取引したと言われる内容が、著しく法に反しており、国を動かす政治家としてもはや見逃すことができないレベルであることが理由。また、(上院の3分の2以上となるために)共和党から20人以上が有罪の投票をする可能性は確かに低いけれど、ウクライナ疑惑に関してトランプ弾劾への国民の支持を多く集めることができると考えており、それが共和党議員が造反するための後押しになり得るから。

弾劾裁判後の採決は公開投票?

これまで歴史上行われてきた上院弾劾は全て公開投票。けれど、弾劾裁判のルールは裁判の前に上院が決めることになっており、投票方法を秘密投票に変えることも不可能ではない。もし秘密投票であればトランプを有罪と投票する議員が増えると言われており、となると裁判のルールを決める際に、秘密投票を唱える議員も出てくるかもしれない。その際は、単純過半数の賛成で可決される。可能性としては低いが、希望としては捨てられないコース。