今から約1年半前の2015年5月に、ニューヨーク市内の病院で息子は生まれました。予定日より数日早く夜中に破水をし、そして最終的には帝王切開での出産でした。妊娠中は、妊娠糖尿病にかかってしまったこと以外は特に問題もなく、つわりも軽めで比較的安定した妊娠期だったと思います。

大変だったのは出産後でした。そうだとは聞いていましたし、頭ではわかっているつもりでしたが、想像を絶する大変さでした。

帝王切開の手術からの回復、産後のホルモンバランスの乱れからくる身体的&精神的な不調、そしてもちろん、初体験である新生児の世話。産後2ヶ月は、私の人生で一番辛かった2ヶ月でした。

新生児の息子は、あまり上手に寝れる子ではなく、特に昼寝がなかなかうまくできませんでした。朝起きてから夜就寝するまで、一度も昼寝をしなかった日もあったくらいです。そして起きているときは泣いてばかりで、機嫌よく起きていたことなんてほとんどなかったように思います。昼寝をしない分、夜は比較的寝れていましたが、それでもやはり新生児、夜中に1、2度は必ず起きて授乳をしていました。

産後の私にとって、それはそれは辛い日々でした。しんどくてストレスで、泣いてしまうことも少なくありませんでした。後から考えると、乱れたホルモンバランスによる涙だと思えるのですが、当時の私にはもちろんそんな余裕はありません。息子はなんでもっと寝てくれないのか、なんでいつも泣いてるのか、Googleに何度も聞きました。同じような辛い思いをしている人のブログを見つけて読んでは、また涙を流しました。

幸い夫の理解があったので、できるだけのサポートはしてもらいましたし、ちょっとした息抜きもさせてもらいました。それがなければ、本格的な産後うつになっていたかもしれません。

そんな辛い日々から抜け出せるきっかけになったのが、ベビーナースさんの存在です。ベビーナースとは、新生児のケアをするスペシャリスト。ニューヨークでは、出産前からベビーナースを探して契約し、出産直後から1、2週間住み込みで新生児のケアをするのが一般的です。

私も出産前に、数名の先輩ママからベビーナースの重要さを度々聞かされていたのですが、出産前は「自分たちだけでどうにかなるんじゃないか」と楽観的に考えていたし、やはり日本育ちの私にとって、新生児のケアを他人に任せることにも抵抗がありました。

そうこうしているうちに息子は1ヶ月半になり、ベビーナースを雇うには既に遅い時期ではありましたが、背に腹はかえられず、既に面接をしてあった方に意を決して依頼したのでした。

週に3回来てもらった彼女のケアにより、息子の生活はみるみる変わっていきました。生後3ヶ月でほぼ夜通し寝てくれるようになり、その半月後には、昼寝の時間も一定し、1日の睡眠パターンができあがりました。睡眠パターンができると、親の生活もうんと楽になりました。睡眠がきちんと取れ、親のストレスも激減したことで、息子の機嫌も見違えるように良くなりました。

そして私は産後3ヶ月で仕事復帰し、それによって私と息子との間に程よい距離も生まれました。その距離がお互いにとっていい影響を与えてくれました。それから現在まで、もちろん大変なこともたくさんありますが、楽しく育児をすることができています。

出産前に、夫と決めていたことがあります。

「子供中心の生活にしないこと」

私たち夫婦は、美しいものときちんと真剣に向き合う生活をしてきました。見るもの、聞くもの、食べるもの。ひとつひとつと丁寧に向かい合うことを意識した暮らし方です。そんな暮らし方を、変えないこと。

そんな私たちの赤ちゃんとの生活や、ベビーナースに教わったこと、そして仕事との両立についてなど、紹介できればと思っています。