今週末は、レイバーデイ・ウィークエンド。夏の終わりを象徴する祝日の連休です。多くの人が、ビーチやキャンプ、バーベキューなど、夏の最後を楽しみます。私たちはというと、みんなが出かける連休ほど市内でゆっくり過ごすことが多く、人が減る静かなニューヨークを楽しんでいます。
今日紹介するレシピは、豚肉にプロボローネチーズとほうれん草を挟んで焼く、いつもよりほんの少しだけ豪華なメインコースのお料理です。
このアイデアの芽となるものを最初見つけたのは、Dean&Delucaでした。肉売り場で何のお肉を買おうか迷っていた時に見つけたのが、プロボローネとほうれん草を中に巻いた豚肉、ブラチオーレでした。ブラチオーレと言えば、我が家のクリスマス定番メニュー、牛肉ブラチオーレのレシピを以前紹介しましたが、肉屋ですでに巻いてあるものはなんとなく買う気になれず、この日も気にはなったものの、買わずに家に帰ったのでした。ところがGiorgioにも話してみると、彼もポークとプロボローネの組み合わせがかなり気になったようで、結局翌日戻って購入。その日のうちに調理していただいたのでした。
感想はと言うと、ポークとプロボローネは愛称はバッチリ。けれど、料理としては未完成。そこでこの料理を完璧に仕上げよう、と2人で考え始めたのがきっかけでした。
まずD&Dのものは、ブラチオーレ、つまり豚肉でフィリングを巻き、それを輪切りにして販売していたので、チーズが剥き出しの状態。これでは肉を焼く時にプロボローネが溶けて流れ出してしまって、食べれる頃にはもうそのほとんどが肉の外に。なので代わりに、ボーンレスのポークチョップ(=豚ロース)を使って、横から切り込みを入れて開き(バタフライ)、具を入れて閉じ、竹串で固定する方法に変更しました。これでチーズは流れ出なくなりました。
次にほうれん草。D&Dのものは生のほうれん草を挟んでいたのですが、これだとほんの少しの量しか詰めることができないし、ほうれん草までちゃんと火を通そうと思ったら、ポークが焼けすぎてパサパサに。そこで、余分に手間はかかりますが、ほうれん草は前もって茹でておくことに。こうすることで、ロース肉2枚につき1束まるっとほうれん草を入れることができ、全体のバランスが良くなりました。焼く時も、肉の焼き加減だけ注意すればよいのが嬉しい。
そして風味と食感。プロボローネ独特の、つんとした辛みがいい味を出しているのですが、もう1歩深みが欲しいところ。そこでGiorgioの提案でパルミジャーノを足してみたところ、良い具合に味に奥行きが出ました。さすが、困った時のパルミジャーノです。食感はと言うと、最初から最後まで同じぼんやりとした食感だったので、ナッツなどを試してみましたがいまいちしっくりこないので、以前スタッフドポークで使ったことがあったコーニッションを足してみたら、これが大正解。カリカリとした食感はもちろん、味にもほんのり酸味が加わって、より一層美味しくなりました。コーニッションがなければ、ピクルスやお漬物で代用するのも美味しいと思います。
また、豚肉を柔らかく、そしてジューシーに仕上げるために、低温でじっくりと焼き上げます。そしてきちんと火が通り切る直前にお皿に取り出して、アルミホイルをかぶせ、ポークそのものの余熱で火を通すのが美味しく仕上げる大事なポイントです。
Giorgioがとても気に入っていて、すごい頻度でリクエストがあるこの料理、ぜひ試してみてください。
[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]