先日触れましたが、この夏は2カ月近くを日本で過ごしました。日本の実家にはオーブンがないためその期間お菓子を全く焼きませんでしたが、NYに戻ってくると夏のフルーツがピークを迎えており、手に入らなくなる前に、と次から次へと焼いています。アプリコットや桃、ルバーブにレッドカラントなど、フルーツ焼き菓子を作るのに最も楽しい時期です。
それなのに、フレッシュフルーツを使っていないタルトで時々無性に食べたくなるものがあります。それが今日紹介するプルーンとクリームチーズのタルトです。
私もGiorgioもプルーンが大好きで、家には常にストックがあり、ほぼ毎日1個食べています。(ちなみにここで言うプルーンは、ドライプラム[すもも]のことです。英語ではプルーンは、乾燥しているものだけを指し、生のプラム[すもも]のことをプルーンとは呼びません。)そしてプルーンといえば、世界生産量の半分以上を占めるといわれるのが、アメリカのカリフォルニア。でも私たちがいただくプルーンは、フランスのアジャン産、プリュノー・ダジャン(Pruneaux d’Agen)のものと決まっています。
カリフォリニアのプルーンは小ぶりで硬く、すごくドライな仕上がりなのに対し、アジャン産のプルーンは大きくて柔らかく、しっとりとしていて、濃厚な風味があります。
我が家では料理にもよく使いますが、お菓子でも使えないかと思い、いろいろなレシピを試して出来上がったのがこのタルトです。もう5年以上作っていますが、失敗しらずの安定した味で、生地の繊細さと、プルーン&クリームチーズのリッチな味わいが絶妙。フランス人の知り合いや友人がゲストで来る際にはほぼ決まってこのタルトを出すというくらい、フランス人に特に喜んでもらえます。(アメリカでは、プルーン=便秘解消のための食べ物、という先入観を持つ人が多いため、出す時には前もってプルーンだと言わないようにしています…)
なお、生地は「おかし作りを始めたきっかけと、パートブリゼ黄金比レシピ」のレシピで作った生地を使います。この半分の量を使用して、10cmのタルト2個分を作ります。生地を伸ばす時のコツはここで、そしてタルトリングに生地を敷き込むコツはここで紹介しているので参考にしてください。
なお、フィリングにはアーモンドプードルを使っていてグルテンが入っていないため、生地を使わなければグルテンフリーのお菓子になります。その場合は、ラメキンなどの耐熱容器の底にプルーンを並べ、フィリングを流し込んで、同じように焼き上げます。生地なしでも十分に美味しくいただけます。
[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]