私は約3年前に、ニューヨークで息子を出産しました。NY在住はすでにその時点で15年近かったので、海外で出産をすること自体に不安はありませんでしたが、慣れない環境に戸惑いを感じる方も多いかと思います。これからアメリカで出産予定のある方にとって少しでも参考になればと、当時書き留めてあったメモを元にその出産時の流れを記しておこうと思います。

予定日の3日前の夜中、就寝中に破水(water breaking)をしました。最初は微量だったので確信が持てませんでしたが、1時間後くらいに驚くほどの量が出たので、すぐに病院に電話をしました。オペレータが出たので、指示に従って、破水をしたことと、名前、誕生日(date of birth)、電話番号だけを伝えました。折り返しすぐにドクターから電話がありました。

陣痛(contractions)はまだその時始まっていなかったので、とりあえずはそのまま12時間様子を見て、12時間後までに陣痛が来なければまた連絡するように言われました。そして、その12時間の間にできるだけ睡眠を取るように、とも。

結局陣痛は来ず、12時間後に再度電話。その間、羊水はときどき出ていました。病院に行くように言われたので、準備をしてニューヨーク大学医療センター(通称NYU)に向けて出発。出産病棟(Labor&Delivery、”L&D”)のナースステーションにて午後4時ごろチェックイン。

まずはトリアージ室(triage)に行き、ガウンに着替え、お腹にバンドをつけて赤ちゃんの心拍数と、陣痛が始まっているかどうかを確認します。まだ痛みががなかったので気づきませんでしたが、この時なんと陣痛がすでに始まっていました。そして羊水の確認と、ドクターによる内診(cervical check)で子宮口の開き(dilation)を確認しました。この時まだ1cm(アメリカの長さの単位はインチが基本ですが、子宮口の開きに関してはセンチメートルでした)。

次に麻酔科医(麻酔=anesthesia)が来て、エピデュラル(Epidural/硬膜外麻酔)と呼ばれる麻酔薬の説明をしてくれました。無痛分娩をすることを予め伝えてあったからです。

これでトリアージ室での手続きは終了。ナースが個室へと案内してくれました。この個室にて陣痛から分娩まで(’labor’&’delivery’)を行います。この個室はとても広くホテルの一室のような雰囲気で、必要なもの全てが揃っていました。パートナーが睡眠を取れるベッドも完備しています。

ナースが出産に向けての諸々の準備をしたあと、ドクターからの説明で、促進剤(induction)を使用することに決定。破水して時間が経っているのにもかかわらず陣痛の進みが遅かったからです。そして午後7時ごろにピトシン(Pitocin)を投与。すぐに陣痛が感じられるほどの痛みになりました。

後編では、麻酔の投与、急遽帝王切開に決まった経緯や、術後退院までの流れを紹介します。