デルーカ流 ガーデンパーティーのすすめでも触れましたが、夏になるとデルーカ家ではテラスでグリル(バーベキュー)することが増えます。少なくとも週に1回、多い時だと週に2度も3度もしてしまうほどで、グリルなしで我が家の夏の食事は始まりません。
ちなみに、「グリル」と表記し、「バーベキュー」を括弧で括っているのにはわけがあります。私がここでグリルと表現しているものは、日本ではバーベキューと呼ばれているもの、つまり屋外にて直火でお肉や野菜を調理することを指しています。けれどバーベキューの本場であるアメリカでは、「バーベキュー」とは、厳密には薪や炭を使って低温でじっくりとスモークさせる調理法を指します。
つまり、同じ炭火でも高温&短時間で調理をするものはバーベキューではなく、グリルなのです。
けれど実はアメリカ人でもこのことを正確に知っている人は全員ではなく、日本と同じようにそれをBBQと呼ぶ人も少なくありません。が、Giorgioにとってはとても大事なことで、バーベキューと呼ぶと必ず訂正が入ります…
グリルをする際は、基本的にはGiorgioが担当。彼から学んだグリルのやり方やコツ、そして我が家で普段使っているアイテムなどを紹介します。
バーベキューコンロ・グリル
アメリカの家庭のなんと80%が、何らかのバーベキューコンロ・グリルを所有しているとのことで、その中でも群を抜いてシェア率が高いのがウェーバー(Weber)。シンプルな作りと信頼できる品質、そして比較的お手頃な価格が人気の理由で、我が家でも愛用しています。
アメリカではその手軽さからガス・グリルも非常に人気ですが、我が家ではもちろん炭。ガスのグリルなんて邪道だとGiorgioは言い切っています。
炭
炭は、気に入ってよく使っているのがCowboyというブランドの、Hardwood Lump Charcoal(Amazon)。グリルならではの、炭のスモーキーな風味が強く、お肉が美味しく焼けます。
Lump Charcoalが天然炭なのに対して、ブリケット(briquets/briquettes)と呼ばれる成形炭があり、店先では断然ブリケットの方を多く見かけます。ブリケットは、主には炭の粉を固めたもの。天然炭と比べて火持ちが長く、形とサイズが一定なので扱いやすく、天然炭より安くて手に入りやすいなどの利点がありますが、品質を保つために添加物も使われているのが一般で、そのため少し独特な香りもあります。やはり天然炭のあのスモーキーないい香りにには到底及びません。
火を調節しやすくするために、我が家でも天然炭にブリケットを少し混ぜて使用することもありますが、便利とはいえブリケットだけでグリルをすることはおすすめしません。
火の起こし方
まず炭を敷き詰めます。できるだけ隙間を作らないように積み上げますが、天然炭は形やサイズがバラバラなので、大きいピースを並べては、その隙間に小さいピースを埋めるようにして積み上げます。
そしてその隙間に、着火剤も足していきます。うちが使っている着火剤はブロック状のもので、現在使っているのはRutlandのFire Starter Squares(Amazon)。1度のグリルでこのブロック2個分を使いますが、より良く火が回るよう、さらに小さく切って炭の隙間に入れます。
そしてこの長いマッチを使って火をつけます。そのまま10-15分ほど待てば、調理するいい火加減になります。
Bellows(鞴/送風器)
上記の火の起こし方で問題なく火がつきますが、少し火の起こり方が悪い時や、時短したいときに使うのが、bellows、鞴(ふいご)です。かなり原始的なツールですが、うちわでも、ドライヤーでさえも敵わない強みが、その強い風圧。圧縮した空気を細い管から送りだすので、一定した圧力の高い風をピンポイントにあてることができます。(Amazon / Home Depot / Walmart)
Grill basket(合わせ焼き網)
お肉やお魚をグリルするときにほぼ必ず使っているのが、grill basket(合わせ焼き網)。具材をこの網で挟んで手に持って焼きます。火からの距離を調整できるので焼き加減をコントロールしやすく、ひっくり返すのが簡単でお肉やお魚が崩れる心配もなく、一度にひっくり返すことができるのも便利です。もちろん違う素材にはそれぞれ別の網にし、同じお肉でも厚みの揃っているものに限ります。(Amazon / Home Depot)
メニュー
デルーカ流 ガーデンパーティーのすすめでも触れた通り、一番頻度の高いメニューが、ラムチョップととうもろこし。
ラムチョップは、塩をたっぷりして、grill basketに並べて、炭火で片面3分程度ずつ焼いて出来上がり。もちろん、肉の厚みや火の強さによって調整をします。そしてサルサベルデなどのようなソースを作ることもありますが、そのままでいただくのが一番美味しいです。
とうもろこしは、皮を残り1枚になるまで剥がし、全体をアルミホイルで包みます。アルミホイルも出来る限り2重になる部分を最小限にするように巻きます。とうもろこしはグリルのメイン網の上に直接置き、全面それぞれ3-4分ごと焼きます。とうもろこしの実に少し焦げ目がつく程度に焼けていれば完璧。そしてとうもろこしが熱いうちにバターを塗り、すりおろしておいたパルミジャーノチーズをたっぷりまぶしたら出来上がり。
[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]