前半では、入試やカリキュラムの違い、また授業料などについても触れました。後半を紹介します。

施設

公立校は学校施設が必要最低限であるのに対し、私立校は予算も多く、特にアートスタジオ、科学実験室、講堂、体育館などの施設がより充実しているところが多いです。けれど前述のように、公立でも人気学校区の施設は私立並みに充実しているところも多く、やはり人気校のPS397 Spruce Street Schoolは、著名建築家フランク・ゲーリーがデザインしたビルに校舎を構え、私立校顔負けの設備が整っています。

ダイバーシティ

ほとんどの私立校がアピールポイントとして挙げているのがダイバーシティ。どのウェブサイトを見ても、様々な人種の生徒が写っている写真を積極的に使っていますが、それほどにダイバーシティは重要視されています。

ただどうしても授業料の高い私立校は白人の生徒が多くなりがちで、公立校には到底及んでいない状況です。(そのため、アジア人を含むマイノリティのほうが、ファイナンシャルエイドを得られる可能性が高くなります。)

またそれと同時に、公立校も学校区によってばらつきがあり、前述のように人気校区は白人生徒が多くを占める中、黒人がほとんどの学校や中国人がほとんどの学校、などのように偏りが出ていることも問題視されています。

学校と親との関わり合い

学校の良し悪しの判断材料の1つに、PTAのアクティブ度合いがありますが、やはり公立校のほうがPTAがアクティブです。それだけ親への負担も大きくなりますが、学校側も親の意見をきちんと学校方針に取り入れているという証でもあります。できるだけ学校の行事などに関わりたくないということが私立を選ぶ理由の1つになる親も少なからずいます。

安全面

以前に比べれば、公立校も安全になってきましたが、やはり学校によってはそうではないところもたくさんあります。NYCは、全公立校の先生、生徒、親に毎年アンケートを取っており、その結果をウェブサイトで公開しています。このアンケートは安全面だけでなく様々な内容の質問があるので学校選びの参考として非常に役立つのですが、この記事では安全面に関する質問のデータだけを抜粋してまとめており、さらにこの地図ではその結果を色分けして表示されており、非常に見やすくなっています。

地域との繋がり

地域との繋がり、コミュニティらしさを感じられるのはもちろん公立校。そして必然的にクラスメートや友達が近くに住んでいる可能性が高いため、例えば急な用事でお迎えに行けない時は、お友達の親と協力しあってお迎えをアレンジできたり、ベビーシッターをシェアしたり、プレイデートの計画も立てやすくなります。私立校の場合、仲良しの子の家まで車で30分以上もかかる、ということも十分あり得ます。

一貫教育

学校にもよりますが、私立はキンダーから12年生まで一貫のところが多くあります。対して公立校のほとんどは、5年生まで。ミドルスクール(中学校)やハイスクール(高校)に上がるときにまたそれぞれ学校選びや試験などがあります。

アフタースクール

公立校、私立校ともに、ほとんどの学校でアフタースクール・プログラムが用意されています。プログラム内容や時間などは様々ですが、やはり私立校のほうが料金が高い傾向です。

宗教

私立は宗教に基礎を置く学校がありますが、公立学校においては特定宗派に属すことはないので、それぞれの宗教について学ぶ場を与えたい場合は、私立を選びます。

給食

公立校では、朝食とランチは無料で提供されており、市のウェブサイトでメニューを見ることができます。サラダバーも用意されており、健康志向なニューヨークらしい栄養バランスのとれた給食になっています。

私立校では、校内のカフェテリアがあるところと、ケータリングを使っているところに分かれますが、どちらとも公立校に比べ、よりオーガニック素材や栄養などにこだわっているところが多く見受けられます。

共学/男女別学

例外もありますが、公立校は基本共学。男子校や女子校に行かせたい場合には、私立を選ぶ理由の1つとなります。なお、男女別学校はトラディショナルな校風が占め、その多くがアッパーイーストサイドに集中しています。

 

終わりに

公立校の中には、学校区に縛られず私立校のような自由なカリキュラムを組むチャータースクールや、秀でた生徒のためのGifted & Talentedプログラムなどもあります。

また、それぞれの生徒に合う合わないがあるので、途中で私立または公立に編入するというケースも決して少なくありません。

公立校を選ぶのであれば、Inside Schoolsというウェブサイトが学校別の情報を網羅していて非常に便利です。私立校であれば、Parents Leagueに参加することを是非おすすめします。

私立、公立に関係なく、できるだけたくさんのオープンハウスやツアーに参加し、学校を実際に見てみて、息子に合った学校選びをしていきたいと思っています。