ニューヨークも気温が少し上がって春らしい雰囲気になってきました。今年に入ってから3月までは本当に忙しかったので、この気持ちのいい気候とともにゆったりとした週末を大事に過ごしています。来月は日本へ弾丸出張をすることになり、それについて来週には詳細をお伝えできると思います。
今日紹介するレシピは、トレビザーノとスカモルツァのロースト。Giorgioから教わったレシピです。何が何だかわからないという方も少なくないと思うので、まずはトレビザーノとスカモルツァの説明をします。
トレビザーノ(Trevisano)
トレビザーノはラディッキオの一種です。ラディッキオは、ワイン色が美しいイタリアの野菜で、生でも火を通してもどちらでも美味しくいただける、好きな野菜の1つです。程よい苦味があるので、サラダではその苦味を楽しみ、加熱すると苦味は緩和されます。
ラディッキオにも種類がいくつかありますが、ニューヨークで最もよく見かけるのは、キオッジャとトレビザーノ。キオッジャはキャベツのように丸い形をしたもので、トレビザーノに比べると苦味が少なめです。ほとんどのスーパーで見つけることができ、「キオッジャ」ではなくシンプルに「ラディッキオ(radicchio)」と表示されています。
対してトレビザーノは、細長くアンディーブのような形で、白い芯の部分が太く肉厚。(正確には、また別品種のトレビザーノがありますが、NYで一般的にトレビザーノと呼ばれているのはこちらのタイプ。)普通のスーパーよりも、グルメ志向な食材店に置いてあることが多いです。キオッジャとトレビザーノはともに、ヴェネト州のそれぞれの生産地名が名前の由来です。(なぜか日本では、キオッジャのことをトレビスと呼んでいるようです)
前述の通り、生でも美味しくて大好きですが、今回はローストするレシピを紹介します。肉厚な芯の部分が、火を通すと少し甘みが出て、ジューシーでとても美味しいことから、トレビザーノを選んでいます。
スカモルツァ(Scamorza)
スカモルツァは、同じくイタリアのチーズ。モッツァレラと同じ製法で作ったチーズを、紐でくくって吊り下げて熟成/乾燥させたチーズで、いわばモッツァレラのいとこのような存在です。味も似ていますが、モッツァレラよりも水分が少ないので歯ごたえがあり、風味が凝縮されています。そしてそれを燻製させたものがスカモルツァ・アフミカータ(Scamorza affumicata)。そのままではなく火を通していただくのが一般的で、香ばしいスモークの風味が非常に美味しいです。今回使用しているのも、このスカモルツァ・アフミカータです。
ニューヨークでもスカモルツァが手に入る店は限られており、イタリア食材店で探すのが賢明です。私たちはいつもDi Palo’sで買っています。もし見つからない場合は、スモークモッツァレラで代用することも可能です。
焼きあがった後、チーズがとろとろの状態で最後にバルサミコ酢をかけていただきます。トレビザーノの苦味と、スカモルツァのスモーキーな風味と、バルサミコ酢の甘みの組み合わせが絶妙で、もう本当に美味しくて今でも作る度に「う〜ん美味しい!」と2人して思わず唸ってしまうほど。材料さえ揃えば、毎週でも食べたいくらいです。
[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]