ニューヨークのアートディレクターがいま、 日本のビジネスリーダーに伝えたいこと

私たちの書籍、『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』が4月26日に発売が開始されました。私の手元にも届き、出版まで数ヶ月の私たちの苦労と苦悩を思い返し、とても感慨深いです。

そしていよいよ、今週8日に青山ブックセンターでトークイベントが開催されます。イベントでは、ブランディングやデザインについてをわかりやすく、私たちの経験をもとにお話させていただく予定です。またイベントの最後には僭越ながらサイン会も行なってくださるそうなので、みなさんと直接お話ができることを楽しみにしています。なお、この日のためにデザインした限定ブックマークをお土産としてお渡しする予定ですので、楽しみにしていただけたらと思います。

 

トークイベント
2019年5月8日(水) 19:00~20:30(開場18:30~)
青山ブックセンター
東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山ガーデンフロア(B2F)
料金 1,500円(税込)
詳細&お申し込み:http://www.aoyamabc.jp/event/nyart/

*イベントは満席となりました、ありがとうございました。

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https://www.amazon.co.jp/dp/4295402958

 

編集者の古下さんから最初に連絡があったのは、去年の8月ごろでした。ここで紹介した私たちの仕事やブランディングについての記事を読んでくださり、そしてなぜ私たちが書籍を出版すべきかを、古下さんの言葉で丁寧に書いてくださいました。

もちろん大変光栄ではありましたが、正直なところ、私たちに務まるのかどうかという不安と、そもそも本を書く時間なんてあるのか?という懸念が大きく、お受けすべきか悩みました。ですが実際に古下さんとお会いし、細やかな説明や熱心な姿勢に勇気付けられ、この方とならできそうだと感じました。私たちの知見や経験を日本に広めることはとても意義のあることだと話してくださり、微力ながら私たちの外からの目で何かを伝えることができればと思い、お受けすることにしました。

「できれば年内に出版させたい」と聞いて頭が一瞬くらっとし、「1冊に必要な文字要素は約13万文字」と聞いて気を失いそうになりました。さすがに出版予定日は先にずらしてもらいましたが、ここから入稿までの数ヶ月間、十分想像をしていましたが、それをはるかに超える大変さでした。

タイトルの通り、日本のビジネスリーダーに伝えたいことを書くにあたって、やはり(日本の)外からの目だけではなく、内側の事情もきちんと理解した上で、日本の方々に必要なこと、知ってもらいたいことを伝えることが重要でした。そこで、2016年の日本支社立ち上げから京都オフィスをベースとしているIkuの知見が不可欠であり、よって内容はIkuのリードで進めていきました。

Ikuにも直接感想を書いてもらいました。

ニューヨークのアートディレクターがいま、 日本のビジネスリーダーに伝えたいこと

[Iku: まず1つ目のチャレンジは、自分たちで執筆したことでした。インタビュー形式でお話した上で、執筆自体はプロのライターさんに委ねるというオプションもありましたが、日本ではまだ普及していない本来のブランディングという複雑で曖昧なものを、口下手なわたしたちが果たして正しくライターさんに伝えられるのか?と考え、悩んだ挙句、自分たちで執筆することにしました。

そして2つ目のチャレンジは、ブランディングについての本であるのにもかかわらず、ターゲット読者は「ブランディングを知らない/興味のない日本の中小企業の経営者」だったこと。ブランディングに興味のある層ならば、本来の意味での「ブランディング」は理解はしていなくても、必要性は認識しているので、タイトルに「ブランディング」と入れて、割と専門的な内容でも問題ありません。しかしこの本のターゲット層は、実はブランディングという経営戦略が必要なのに気づいていない人たち。なので、まずはブランディングという言葉をなるべく使わず、徐々にブランディングの大枠を説明し、日本で一般的に言われているブランディングとは違うブランド先進国アメリカの「システム化・プロフェッショナル化」された経営戦略としてのブランディングを説明するところまでもっていくことでした。

それに加えて、普段から私たちが懸念している日本の若い世代にもこの本を読んでもらい、日本で育った中での固定観念に縛られずグローバルマインドセットを養ってほしい、「本当の自分」らしい人生を歩んでほしい!という私的な欲もでてしまったおかげで、より難しいチャレンジになってしまいました。伝えたいことがたくさんあるなか、分かりやすくいかにブレずにターゲットに伝えていくかは、まさにブランディングのプロセスと同じものでした。そして、はじめに編集者の古下さんと一緒に作り上げたアウトラインに沿いながら、伝えたいことを全部書くというジレンマで、はじめの3ヶ月は全く書けず、日々の仕事に忙殺されるなか、年内に出版しなくてはいけないという焦りと不安ばかりが先行して、今まで経験したことのない辛さを味わいました。

その後、父のアドバイスによりブレイクスルーを経て、そこからは前に進めるようになったのですが、20年間の英語生活から貧弱になっている日本語の語彙力と文章力で書いていくことは想像していた以上に困難でした。しかしながら、本の内容の良し悪しはさておき、わたしたちのキャパシティーの中で「もうこれ以上は書けない!」というまで全力を出し切ったので、後悔なく、爽やかな気持ちで書き上げられたと思います。]

ニューヨークのアートディレクターがいま、 日本のビジネスリーダーに伝えたいこと
よりわかりやすく伝わるよう、図もこだわりました。

全体の草稿を書き終えてホッとしたのも束の間、次に襲ってきたのが装丁です。本のレイアウトから図版のデザイン、そして表紙と帯のデザインなど、装丁も私たちが担当しました。どの要素も手抜きのできない大事な部分でしたので、終始緊張感を維持したままの作業が続きました。図版には、文章では伝わりづらい部分を少しでもわかりやすく表現できないかと、何度もデザインの修正を重ねました。表紙や帯は、紙や印刷にこだわった甲斐があって、とても満足のいく仕上がりになったと思います。

今回この本を作るにあたって、私たちの20年間の集大成である(?)2人のチームワーク力を改めて感じる機会ともなり、日本支店の立ち上げ後は物理的には離れていましたが、前にも増して信頼や結束力が強くなったと実感しました。

たくさんの方に楽しんでいただけることを願っています。そしてこの本を通して、1人でも多くの方のお役に立てますように。