これまでに、デルーカ家でよく食べる3つのチーズを紹介し、その後2018年にデルーカ家の最近お気に入りの3つのチーズを紹介しました。今回は、その2019年版として最近よく食べているチーズを3種紹介します。

1. ホーンバッカー/ホルンバッハー (Hornbacher)

スイス生まれのホーンバッカー(ホルンバッハー)は、アルプス山脈にあるWasenで作られる12ヶ月熟成チーズ。スイスの代表格チーズであるグリュイエールで世界一に輝いたチーズメーカー、Michael Spycherが作っているとあって、グリュイエールを彷彿させる、バター風味の濃厚な味が美味しいチーズです。新鮮なミルクのみを使うために、厳選した12軒の地元の畜産農家から、1日2回配達してもらっているというこだわりぶりで、アルプスで放牧されている乳牛から摂れるミルクは栄養価が高く、深みのある濃い味が特徴的なのだそう。数年前までは、地元のマーケットにしか卸していなかったチーズですが、今こうしてニューヨークでも手に入るようになりました。

バターベイクドポテトに似た味と表現されることが多いですが、確かにホクホクとした口当たりが印象的です。ニューヨークでは、フランス食材マーケットのLe Districtなどで購入可能です。

ホーンバッカー/ホルンバッハー (Hornbacher) チーズ

2. ペコリーノ・プリエーゼ (Pecorino Pugliese)

ニューヨークのおすすめ食材専門店10選で、チーズ専門店でよく行く店に挙げたDi Palo’sにて、美味しいからと勧められて食べたのが、プーリア州で作られているペコリーノチーズ。2018年版デルーカ家の最近お気に入りの3つのチーズでもペコリーノを紹介しましたが、この時紹介したのはペコリーノ・トスカーノでした。そしてペコリーノといえばペコリーノ・ロマーノが最も有名ですが、ロマーノでもない、トスカーノでもない、プーリア出身のペコリーノを食べたのはこれが初めてでした。ペコリーノの中でも熟成期間が最も短いフレスコをいただいていますが、これが中毒性があるほどに美味しく、もうここ数ヶ月、毎週のように購入しています。先日、久しく会っていなかった知り合いにばったり会った際、その方が「プーリアのペコリーノが好きでDi Palo’sで買っているのだけど、この間行ったら『デルーカ家が買いすぎてもう売り切れだよ!』と言われたよ」と話していたのには、思わず笑ってしまいました。

ペコリーノは羊のミルクで作られるチーズなので、独特の風味があり、熟成が長いと匂いが強く苦手な人も多いですが、このチーズは若いものなのでとてもマイルド。なのに口いっぱいに広がる味わいが奥深く、美味しい赤ワインとの相性がばっちりです。

左上が、プーリアのペコリーノチーズ、右下が水牛のタレッジョ、ブッファレット

3. ブッファレット (Bufaletto)

イタリアで一番有名なウォッシュタイプのチーズといえば、タレッジョ。もちろん私たちも好きでよく食べますが、今日紹介するのはbufalo、つまり水牛のミルクを使って作るタレッジョです。タレッジョは、フランスのウォッシュタイプチーズに比べると臭みがマイルドですが、このブッファレットはよりマイルドで食べやすく、またウォッシュタイプチーズならではのぴりっとした辛さもあり、クラッカーにのせてフルーツジャムや蜂蜜と一緒にいただくのがとても美味しいです。開発されてまだ間もないチーズとのことで、これから人気が出そうですが、今の段階では少なくともニューヨークではまず聞いたことのある人はほとんどいないので、ディナーパーティなのでサーブすると必ず会話のきっかけが生まれます。ブッファレットは、同じくDi Palo’sにて購入しています。

[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]