妊娠中、お腹にいる子の性別が男の子だとわかったとき、夫のGiorgioはほんの一瞬、困ったような顔をしました。訳を聞いてみると、

「男の子の父親としてロールモデルになれる自信がない」

そう彼は言いました。

月日は流れ、その男の子は先週6回目の誕生日を迎え、乳歯がグラグラし始めたこの頃、私はロールモデルについてよく考えさせられます。

ロールモデルとは、行動や考え方、社会的役割において、他の人が見習うべきモデルとなる人のこと。

子供の成長にとって、ロールモデルという存在が重要であることは言うまでもありません。ポジティブなロールモデルが身近にいる環境で育つ子供は、人生のあらゆる分野で良い結果を出す傾向があり、またそうでない子供と比較して自尊心が高いと言われています。子供にとって親は、最初で最大のロールモデルだと、アメリカの多くの女性にとってロールモデルであるミシェル・オバマさんも語っていました。

「Parents as role models」と検索すると、「ポジティブなロールモデルの親だけが持つ3つの特徴」とか「ロールモデルの親になるための10か条」みたいな記事が山のように出てきます。

何事にも正直に。
自分の欠点をきちんと受け入れて。
約束は必ず守る。間違うことを恐れないで。
勇気を持って、そして親切に。
人を労る前にまず自分を労って。
でも自分を犠牲にすることも大事。
とにかくベストを尽くして。

ロールモデルとして、親として、というよりは、「人としてこうあるべき」と言わんばかりのアドバイスがブラウザに滝のように流れ込んできて、めまいがしそうになりました。

果たして私は、息子にとっていいロールモデルなのだろうか?いいロールモデル風を演じてるだけで、本当はそんなことない私を、実は息子も見抜いているのではないだろうか?

例えば、環境のためにゴミをできるだけ減らしリサイクルする努力をしてそれを息子と共有するように心がけていますが、本当に私が心の底から環境保護を願って取っている行動なのか、それとも自分にはないその心を息子には持って欲しくてやっているのか、さらには環境を意識しない人間だと息子に思われたくなくてやっているのか、自分自身正直わからなくなることがあります。息子の目に写る私は、この3人のうちどれなんだろう。そんなことを考えてしまうのです。

見本になるような行動は取れても、その根底にある思想はそう簡単に変えられるものではありませんし、そもそも見本になるような行動をそんなに取れていません。親だって人間。そんな四六時中、人のお手本のような生き方をするなんて到底無理です。ただ、悪い見本の行動をとってしまった時は、「今のはネガティブロールモデルだから真似しちゃダメよ」と言えるようには心がけたいです。

ミシェルさんが語ったように、子供にとって親は一番最初のロールモデルですが、でもそれはあくまで、子供の個性を発揮できるようになるための基礎を作る上でのロールモデル。その個性が発揮される時がきたとき、その発揮される分野でのロールモデルを見つけることも必要となるはずです。そのロールモデルを見つけやすくするためにも、さまざまな分野で社会的役割を大きく果たしている人たちについて学ぶ機会を与えるのも、ロールモデルとしての親の役目なのかもしれません。

息子が6歳になった日、夫に聞きました。

「あなたは息子にとっていいロールモデルだと思う?」

少し考えて、彼は「Yes」と答えました。

「なぜかというと、僕はいつも息子に対してリアルだから」と。

私的には、リアルもいいけどもう少し繕ってくれてもいいかな…と思うことも無きにしも非ず(苦笑)ですが、自信がないと言っていたあの頃に比べると、素晴らしい進歩ではありませんか。

「ただ、男の子だから、女の子だから、そして父親だから、母親だから、というのは関係ないというのが実際に親になってわかったよ」とも話していました。確かにそうだと私も思います。

今日は少しとりとめのない内容になってしまいましたが、最後にもう1つ。私自身の子供の頃を振り返ってみて、私の両親は親として素晴らしいロールモデルだったと改めて思いました。自分の息子が大きくなったとき、彼にも同じことを言ってもらえるように頑張り、、、いやほどほどに頑張りたいと思います。