長い長い3ヶ月の夏休みが明けて、ようやく息子の通うプリスクールでも新学年が先週始まりました。日本語でいう「魔の2歳児」を「Terrible Twos」と表現しますが、英語ではその続きの3歳児を表す言葉「Horrible Threes」があります。息子もこのHorrible Threes真っ最中で、毎日の気まぐれと、コントロールできない感情に親が振り回されています…。
さて、今日紹介する料理は、チキンパルミジャーノ。英語ではChicken parmigiana(チキンパルミジャーナ)やChicken parmesan(チキンパルメザン)、または略してChicken parm(チキンパーム)と呼ばれることが多いこの料理、一見イタリア料理に見えますが、実はアメリカ料理です。正確にいうと、イタリア系アメリカ料理です。
1900年前後にイタリアからアメリカにやってきた移民が、当時アメリカで安く手に入った鶏肉を使って作った料理で、1950年代後半頃から一般的に広まったそうです。この料理を「ミラノ風」とか「パルマ風」などと日本では呼ばれることがあるようですが、それは間違いです。
今ではイタリア系アメリカ料理を代表するほどの人気料理で、アメリカではチキンパルミジャーノを嫌いな人はいないと言い切れそうなくらいみんな大好きですが、逆に、イタリアンレストランでこの料理をサーブしているところは、’本物の’イタリア料理を出している店ではないと認識される傾向があります。カリフォルニアロールを出している日本食レストランにイメージが近いです。
それでも、カリフォルニアロールが美味しいのと同様、チキンパルミジャーノが美味しいことには変わりありません。チキンカツにトマトソースと溶けたモッツァレラチーズがのっていて、美味しくないはずがありません。子供にも大人気なのでアメリカの家庭でよく作られる料理の一つですが、ポイントを押さえるとさらに美味しい料理に仕上がります。
まず、鶏肉につける衣、パン粉に、すりおろしたパルミジャーノを混ぜること。より香ばしくなり、チーズの旨味が引き立ちます。そしてそのパン粉の中に、フレッシュなマジョラムまたはオレガノを混ぜることによって、風味が増します。フレッシュなものがなければドライのハーブでもOK。
チキンが揚がった後、チキンにトマトソースとチーズをのせてオーブンで焼くのですが、この時のポイントが、トマトソースをチキンカツを覆ってしまうほどかけるのではなく、カリカリの食感も残すためにカツの端にはかからないようにすることです。お店で出るチキンパルミジャーノの多くは、チキンカツが大量のトマトソースに浸っているような状態のものが多く、カツがべちゃっとなってしまっていて美味しくありません。
なお、使用するトマトソースはもちろん自家製のものが一番ですが、時短するなら市販のものでもかまいません。トマトソースのレシピもまた紹介できればと思っています。
そしてスライスしたモッツァレラをのせて、さらにはすりおろしたパルミジャーノもかけることで、やはり旨味がアップ。
チキンカツの端にかからない程度にのせたトマトソースだけでは物足りないので、焼きあがってお皿に乗せた後に、残りのトマトソースを添えてサーブします。
[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]