海外を舞台に働いてみたい、グローバルな仕事をしてみたいと話す日本人の女性は少なくなく、実際に相談を受けることもあります。

女性と話す機会のほうが私は多いというのもありますが、男性よりも女性の方がグローバルキャリアを目指している方が断然多いと感じます。とても心強いです。

また同時に、グローバルキャリアを目指す上で、結婚や出産への不安を抱く人も少なくありません。

●海外でキャリアを積んでから日本に戻りたいが、その頃にはもう婚期を逃してしまっているのでは、出産年齢を越してしまうのでは?
●努力してグローバルにキャリアを積んでも、出産によってペースダウンしてしまうのでは?
●世界中を行き来する生活と家庭の両立は可能なのか?

家事・育児の男女共同参画、女性の社会進出、ジェンダー平等が叫ばれて久しい今でも、これらの悩みが絶えることはありません。

私は大企業のリーダーでもないし、世界を飛び回っているわけでもないので、「グローバルキャリア」と言われても正直ピンときません。ニューヨークで仕事をしている以上、様々な国の人と仕事をし、様々な国や地域のプロジェクトをするのはある意味普通のこと。私が学生の頃に思い描いていた憧れの「グローバルにバリバリ活躍するかっこいい女性」には程遠く、アドバイスを出せる立場にありません。

私が実際出会った人で、前述のような憧れの女性は数名いますが、その中に一人だけ日本人女性がいます。建築家の森俊子さん(Wikipedia)です。輝かしいキャリアはもちろん、聡明で芯が強く、それでいて柔らかい物腰としなやかさも持ち合わせた本当に素晴らしい方です。このキャリアを積み上げながらも子育てをし(娘さんも才能ある建築家)、さらにはお料理まで上手で、私にとって彼女はまさにスーパーウーマン。

森俊子さんは別格ですが、もちろんニューヨークには頑張っている日本人女性がたくさんいます。私は致命的に知り合いが少ないので、参考にするにはデータが少なすぎるのですが、把握している範囲で彼女たちのグローバルキャリアのケースを、結婚や出産との関連性も含めて簡単に挙げてみます。基本的には、アメリカの学校に行かれていた方や、アメリカ現地の仕事をされている方に絞ります。

Sさん
日本の大学卒業→日本で雇用→アメリカの大学で学士号取得→NYの現地企業雇用→フランス人との結婚と出産のタイミングで退職→現在フランスで専業主婦

C1さん
日本の大学卒業→アメリカの大学で学士号取得→NYの現地企業雇用→退職→現在NYでアーティスト活動

Rさん
ヨーロッパの高校卒業→日本の大学卒業→NYの現地会社雇用→NYで起業→NYでアメリカ人と結婚と出産→自社の日本支社を設立し、家族で日本へ帰国

A1さん
日本の高校卒業→アメリカのコミュニティカレッジ卒業→NYで日本人と結婚→NYの現地会社雇用→独立、NYで店舗を構える

M1さん
東南アジアの高校卒業→アメリカの大学で学士号取得→NYの現地会社雇用→インド人との結婚と出産のタイミングで退職→現在アメリカで旦那さんの会社で働く

Eさん
日本の大学卒業→アメリカの大学で学士号取得→NYの現地会社や日系企業での雇用を経て→日本人との結婚と出産のタイミングで退職→日本へ帰国し、現在日本で専業主婦

N1さん
日本の大学卒業→日本の企業雇用→日本人と結婚→NY支社に派遣→その期間にアメリカの大学で修士号取得→駐在が終わり、日本へ帰国→引き続き日本で雇用

N2さん
日本の高校卒業→日本で雇用→渡米後、NYでバイトや日系企業の雇用などを経て→NYの現地会社雇用→アメリカ人との結婚&出産のタイミングで起業→現在NYで会社経営

M2さん
日本の大学卒業→アメリカの大学で学士号取得→NYの日系企業雇用→現在NYでフリーランサーとして活動

N3さん
日本の高校卒業→アメリカの大学で学士号取得→NYでフリーランサーとして活動→アメリカ人との結婚と出産→引き続きNYでフリーランサーとして活動

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ごく限られたデータではありますが、キャリアを積んでいても、結婚&出産で手放してしまう人がいるのがわかります。もちろん彼女自信が望んだことかもしれませんし、どちらが良い悪いということではありません。それでも旦那さんはみなさんこれまでと同じ仕事を続けているので、やはり出産によってペースダウン、またはキャリアシフトをするのは女性の方が多いようです。

これが日本人女性以外の知り合いとなると、妻が一家の稼ぎ頭であるケース、出産によって夫がペースダウンしたケース、また妻の仕事の都合で一家が引越しをしたケースもあり、この差が生まれる理由が何なのか、興味深いところです。

同時に、RさんやN2さんのように結婚&出産をきっかけに起業や日本支社設立するなどバイタリティ溢れる方もいらっしゃいます。

「グローバルキャリアを目指すには遅すぎるんじゃないか」と心配なさる方もいますが、SさんやN2さんのように日本でキャリアを積み始めた後に留学や渡米を決意された方や、N1さんのように日本企業からNY支社への派遣として駐在し、その間に修士号を取得された方もいます。

当然ですが、皆さんに共通して言えることは、「行動を起こした」方々であること。結婚や出産への不安や、人生においてのタイミングなど、悩むポイントはたくさんあると思います。でももしかすると、その悩みは日本で育った中での固定観念に縛られた悩みかもしれません。外に出てみたら、案外大した悩みではなかったと思うかもしれません。「後悔しない人生を」と口にするのは簡単ですが、グローバルな環境に身をおくことで柔軟なマインドセットを養い、本当の自分らしい人生を歩む、その選択をする女性が1人でも増えることを願っています。