以前に、ニューヨークでのプリスクール(幼稚園/保育園)探しと面接から入学までについて書きました。今回は、そのプリスクールに息子が実際に通い始めて気づいたことや驚いたこと、日本の幼稚園や保育園との違いなどについて紹介します。

授業料/保育料の高さ

少なくともニューヨークでは、4歳以下の子供が通えるプリスクールは、基本的には私立のみです。その授業料は、市内全体的にとても高いですが、マンハッタンは中でも当然一番高額。私が自宅から徒歩範囲内で調べたプリスクールは、フルタイムの授業料はどこも年間$30,000(340万円)以上でした。しかも夏休み、冬休み、春休みなどを考慮すると、通うのは年間実質8ヶ月程度。つまり1ヶ月の授業料は40万円以上になります。日本では考えられない金額だと思いますが、ニューヨークではこれが当たり前であり、そんな高額でありながらも、人気のプリスクールにはキャンセル待ちの状態が続きます。

つまり、母親の月収が40万円以下の場合は、フルタイムで働くことによって逆に出費が増えるという事態になります。よって、復帰したくてもできないという人も少なくありません。

支払えない人はどうするかというと、以下のようなオプションがあります。
・(公立の幼稚園に入れる)4歳になるまで母親または父親がみる
・祖父母が代わりに面倒をみる
・フルタイムのナニーを雇う(不思議な話ですが、プリスクールにフルタイムで通わせるよりも、フルタイムのナニーを1人雇う方が安くつくことが多いです。)
・パートタイムで通わせる(ほとんどのプリスクールで、半日のみや、週に2,3日のみなど、パートタイムで通わせることができるオプションがあります。もちろん母親が専業主婦、またはナニーがいることが前提となりますが。)

ファイナンシャル・エイド

ほとんどのプリスクールで、ファイナンシャル・エイド、つまり金銭的な支援プログラムが用意されています。授業料が払えない家族に補助金が提供される制度です。学校によってその補助額率や枠の数は変わるそうですが、申請する際にはその家族の年収状況を提出する必要があります。学校側のメリットとしては、「いろんな家庭の子供に機会を与えたい」という姿勢を見せられることや、人種などの多様性を広めるためなどがあります。

ファンドレイジング

ではその補助金がどこからきているのかというと、そのほとんどがファンドレイジングで集められる寄付金です。ファンドレイジングは、どの学校でも年に1回は行われる、寄付金集めのイベントです。息子が通うプリスクールでは、今年の春に某ホテルのパーティ会場で盛大に開かれました。メインであるオークションでも、それはそれは豪華な物品が並んでいました。

個人の尊重

日本と比較して欧米の教育方針として挙げられる代表に「個人の尊重」がありますが、これはプリスクールも例外ではありません。日本の幼稚園/保育園でも最近は変わりつつあるようですが、やはり集団の輪を尊重するように教えられ、みんなと一緒に足並みを揃えることが集団生活の基本です。アメリカでは一人一人の個性に合わせて能力を伸ばすことが重視され、他人と比較するということはありません。小さな子供でも、自分の意見を持っていることが大事であり、自分自身でさまざまなことを決定し、自己主張し、それを自尊心と自立心に繋げます。

同時に、日本のように集団で力を合わせて何かを成し遂げたり作り上げたりするということもありません。私はそういうこともとても大事なことだと思います。自分一人だと難しいことも、人とを力を合わせることによって解決できるということや、また他人を思いやる気持ちを教えるためにも、日本とアメリカの教育のそれぞれの良さを取り入れることができれば一番良いと思います。

慣らし保育

日本同様、アメリカにもちゃんと慣らし保育があります。息子のプリスクールに関しては、まず初日は担任と副担任の家庭訪問から始まりました。家という慣れた環境で子供と接すること、家での子供の様子、そして親である私たちと話をする時間をたっぷり設けられていました。私も心配だったことや疑問だったことなど、いろいろと聞けて貴重な時間でした。その後は約1週間かけて学校での滞在時間を少しずつ増やしていきました。

セミナー

息子のプリスクールでは、ほぼ毎週、親のために何らかのセミナーが開催されます。例えば「家でモンテッソーリ教育をする方法」「トイレトレーニングの基礎とコツ」「NYの公立&私立の小学校のそれぞれのメリット」「子供連れ旅行のコツ」など、学校内の先生、またはそれぞれの専門家を招いて、1時間程度のセミナーを無料で開いてくれます。私も興味のあるものにはなるべく参加するようにしています。

 

後半では、食事事情や教育内容、ハイテク化が著しいアメリカならではの特徴についてお伝えします。

[Photo and styling by Hitomi Watanabe Deluca]