メイヤーによるヴェルディ『椿姫』の新舞台セット Image from The Met

今年もオペラのシーズンがやってきました。メトロポリタン・オペラが明日9月24日から始まります。

去年のオペラシーズン直前に、メトロポリタン・オペラを最高に楽しむ12のコツという記事を書きました。それを読んで実際にオペラに初挑戦してとても感動した、と感想をいただいたりなど、反響の多い記事の1つです。

2017-18シーズンでは、40年ものあいだ音楽監督として務めてきたジェームズ・レヴァインがシーズン中に解雇されるなど、波乱を呼んだ年でした。この解雇を受けて、2020年に新音楽監督として就任予定だった、43歳のカナダ人指揮者、ヤニック・ネゼ=セガンが2年繰り上げて今シーズンから就任することになりました。

今年はニューヨーク・フィルハーモニックも新音楽監督が就任することになっており、ニューヨークの2大音楽団が同シーズンに新監督を迎えるという、不測の、そして前代未聞の幕開けとなります。

それでは去年と同様、今シーズンの演目の中から、メトロポリタン・オペラ初心者の方におすすめのオペラと、私が個人的に楽しみにしているオペラをそれぞれ5つずつ紹介したいと思います。

マクヴィカーによるチレア『アドリアーナ・ルクヴルール』の新舞台セット Image from The Met

メトロポリタン・オペラ、今シーズンのおすすめオペラ

音楽、ストーリー、出演歌手、舞台セットなど全てを考慮した上で、今シーズンの演目の中から、メトロポリタン・オペラ初心者の方におすすめのオペラを5つ選びました。

1. ヴェルディ『椿姫』

ヴェルディの最も人気のあるオペラの一つ、そしてメイヤーによるニュープロダクション(舞台セット)、さらには新音楽監督ネゼ=セガンによる指揮ということで、今期最も注目度の高いオペラです。有名なアリア「乾杯の歌」や「花から花へ」、「プロヴァンスの海と陸」など、有名なアリアが目白押しです。(リンク先YouTubeで聞けます)

2. ヴェルディ『ファルスタッフ』

ヴェルディ生涯最後のオペラであり、そしてヴェルディにとって2つしかない喜劇オペラの1つ。テンポが良くて見やすいのはもちろんですが、主人公ファルスタッフ役のバリトン、マエストリがこれ以上ないハマり役で、コミカルで滑稽な役を演じきっています。

3. プッチーニ『西部の娘』

プッチーニのオペラ版西部劇。プッチーニ作品の中ではあまり人気が高い方ではありませんが、何といっても大人気テノールのヨナス・カウフマンが4年ぶりの出演、しかも彼は4回のみのステージということで、特に人気の高いチケットです。その美声もさることながら、イケメンオペラ歌手として特に女性に人気の高いカウフマンです。

4. ヴェルディ『アイーダ』

『椿姫』と並んでヴェルディの人気演目、アイーダ。大人気ソプラノ、ネトレプコが初アイーダ役をシーズン前半に務め、後半ではやはり売れっ子のラドヴァノフスキーが、そして世界3大テノールの1人であるドミンゴが自ら指揮をとるという、スター勢揃いの演目となっています。一番の見所である「凱旋行進曲」が非常に有名です。

5. ワーグナー『ニーベルングの指環』

独立した4つのオペラから成る『ニーベルングの指環』は、総上演時間が約15時間という超大作ですが、もちろん1作品からチケット購入可能です。「ワルキューレの騎行」を始めとする素晴らしい音楽の連続と、当時物議を醸したルパージュによるハイテク舞台も6年ぶりに見ることができます。

トレズニヤックによるサン=サーンス『サムソンとデリラ』の新舞台セット Image from The Met

私が今シーズン楽しみにしているオペラ

1. チレア『アドリアーナ・ルクヴルール』

メットでの新作が何年も続いているマクヴィカーによるニュープロダクション、そして大スターのネトレプコがタイトルロールを演じるということで話題性の高いオペラです。フランスで活躍した実在の女優を描いたこの作品は、チレアの代表作。

2. ドニゼッティ『連隊の娘』

ドニゼッティは好きな作曲家の一人ですが、『連隊の娘』を生で聴けるのは初めてで楽しみです。アリア「友よ、今日は楽しい日」を耳にしたことがある人も多いはず。

3. ミューリー『マーニー』

ビョークとのコラボなどでも知られる、気鋭のコンテンポラリー・クラシック音楽家ミューリーによるこの作品は、ヒッチコック映画の題材にもなった小説を基に描かれたオペラ。メイヤーによるニュープロダクション、そして今シーズン大役が重なる美しきメゾソプラノ、レナードがマーニー役を務めます。

4. サン=サーンス『サムソンとデリラ』

8年前の『カルメン』で情熱的な演技をみせたメゾソプラノのガランチャとテノールのアラーニャが再び共演するということで注目されている演目。今回がMET演出デビューのトレズニヤックによるニュープロダクションが目玉で、壮大な舞台セットが楽しみです。

5. プッチーニの三部作『外套』『修道女アンジェリカ』『ジャンニ・スキッキ』

1918年にMETで世界初演、そしてその100周年を記念して今回上演されるのが、プッチーニの三部作。ブライスアルバレスオポライス、そしてドミンゴと、大勢のスターが登場します。三部作の中で最も人気の『ジャンニ・スキッキ』で歌われるアリア、「私のお父さん」があまりに有名です。