ベビー編の続きで、幼児編ではよりストーリー性のある、そして絵やデザインももちろん秀逸のおすすめ絵本をさらに10冊紹介します。

1. Jon Klassen’s Hat Trilogy(ジョン・クラッセンの帽子三部作)

Jon Klassen

カナダ人作家クラッセンによる三部作『I Want My Hat Back』『This Is Not My Hat』『We Found a Hat』は、かわいいイラストとは裏腹の衝撃的な結末がダークで面白い絵本。絵本には珍しく現在完了形を多用していたりなど、英語の教科書にもなりそうなシンプルでクリアな文章が、読み聞かせにぴったり。動物によって声色を変えながら読みと、豊かな表情のイラストと相まってさらに楽しいです。日本でも『どこいったん』『ちがうねん』『みつけてん』という邦題で日本語訳が出ています。[Amazon日本] [Amazon日本 (日本語訳) ] [Amazon US]

Jon Klassen’s Hat Trilogy

2. Iggy Peck, Architect(天才こども建築家、世界を救う)

Andrea Beaty & David Roberts

学校など至る所で見かける人気のこの絵本は、建築家になることを夢見る男の子イギーのお話で、子供の想像力とクリエイティビティを育てるメッセージが強く込められています。また子供の個性を大事にする姿勢を物語っており、ぜひ日本の子供に読んでもらいたい1冊です。文章には軽妙に韻が踏まれており、読む側も聞く側もとても心地よい内容になっています。同じシリーズに、『Ada Twist, Scientist』『Rosie Revere, Engineer』も。[Amazon日本] [Amazon日本 (日本語訳) ] [Amazon US]

Iggy Peck, Architect

3. Last stop on market street(おばあちゃんとバスに乗って)

Matt de la Peña & Christian Robinson

様々な賞を総なめしたこの作品は、私自身、初めて読んだ時に鳥肌が立ちました。毎週、おばあちゃんとバスに乗ってとある場所に行く少年のお話で、自分の恵まれない(と思っている)環境を嘆いていろいろ質問をする彼に対して、見方を変えることで当たり前のことが美しく見えたり、普通のことが楽しく思えたりすることをおばあちゃんが優しく教えてくれます。2人の会話は、よりリアルにするためあえて文法が間違っていたりするので、読み聞かせの際にはその点も考えながら読むといいと思います。[Amazon日本] [Amazon日本 (日本語訳) ] [Amazon US]

Last Stop on Market Street

4. Little People, Big Dreams series(『リトル・ピープル、ビッグ・ドリーム』シリーズ)

ベビー編では『Little Feminist Board Book(小さなフェミニスト)』を紹介しましたが、その年長バージョンといったこのシリーズでは、主に女性の偉人の伝記をわかりやすく、ポップなイラストと合わせて紹介しています。発売当初は女性のみでしたが最近は男性偉人も出版され、その数は約40種類。伝記なので、中には幼少時代の残酷だったり過酷な環境描写なども含まれますが、苦労や努力を重ねて道を切り開いてきた女性たちの人生とその偉業に、勇気付けられます。[Amazon日本] [Amazon日本 (日本語訳) ] [Amazon US]

Little People, BIG DREAMS

5. Deep in the woods(森の奥深くに)

Christopher Corr

ロシア民話のクラシックな物語と、絵本では珍しく蛍光色を使ったセンス光るイラストとの相性がばっちりの作品。ネズミが森の中である家を見つけてそこに住み始め、他の動物たちもどんどん集まってみんなで仲良く暮らしていたのも束の間、熊がやってきてその幸せな家が一瞬で無くなってしまいます。が、最後にはみんなで協力してハッピーエンドになるという、ほっこりするお話です。繰り返しのフレーズが多いので、読み聞かせるうちに子供自身が英語のフレーズを繰り返すようになります。[Amazon日本] [日本語訳なし] [Amazon US]

Deep in the Woods

6. Today(きょうがはじまる)

Julie Morstad

朝起きてから夜寝るまで、選択しなければいけないことはたくさんあります。何を着て、朝何を食べて、どこへ行って、何をして・・・などなど。その1日の選択を1ページずつしていくのが、この絵本。それぞれの選択を子供にさせ、選んだ理由や、それを選ぶことによってどんなことが起こるのかなどを話すことで、どんどん広がりが生まれます。どちらかというと女の子向けの選択が多いですが、息子も何度やっても嬉しそうに選んでいます。可愛いイラストとともに、単語も自然と覚えられます。[Amazon日本] [Amazon日本 (日本語訳) ] [Amazon US]Today

7. The Day The Crayons Quit(クレヨンからのおねがい!)

Drew Daywalt & Oliver Jeffers

2013年の発売から現在までのほとんどの週でNYタイムズの10ベストセラーにランクしているという驚異的な売り上げのこの作品、アメリカで知らない子はおそらくいないと言われています。主人公のケビン君がいつも使っているクレヨン12色から手紙が届くという内容で、様々な性格の12色は悩みも文字通り色とりどり。それぞれ切実な思いがユーモアたっぷりに書かれています。[Amazon日本] [Amazon日本 (日本語訳) ] [Amazon US]

The Day the Crayons Quit

8. NY is for New York(NYはニューヨークのNY)

Paul Thurlby

ニューヨークの街をABCで案内する絵本。例えば、Gはグランドセントラル駅のG、HはハイラインのH、というように名所などが美しいイラストとともに紹介されています。それぞれの名所のちょっとした豆知識も書かれていて、例えば自由の女神は高さが約93メートル、そして1886年にフランスから送られたもの、などのように大人でも「へ〜」となる情報があり、楽しめます。[Amazon日本] [日本語訳なし] [Amazon US]

NY Is for New York

9. The Remember Balloons(思い出風船)

Jessie Oliveros & Dana Wulfekotte

涙なくして読めないこの絵本の主人公はジェームス君。彼はまだ数える程の風船しか持っていませんが、この本で描かれている風船とは、「思い出」のメタファーで、人は思い出の数だけ風船を持っています。ジェームス君のおじいちゃんはカラフルな風船を誰よりもたくさん持っており、ジェームス君はその一つ一つの思い出話を聞くのが大好き。でもあるときから、おじいちゃんが風船を少しずつなくしてしまうという辛い現実を迎えることに。悲しくて美しい物語に心を打たれます。[Amazon日本] [日本語訳なし] [Amazon US]

The Remember Balloons

10. This is how we do it(わたしのくらし 世界のくらし)

Matt Lamothe

日本を含む世界7カ国の家族の1日を、子供の生活を中心に紹介する絵本。家族や食事、着るものや通学方法、学校での様子や遊び方など、それぞれの国の伝統や宗教、文化などの違いを、美しいイラストとともに学ぶことができます。少し内容は難しいかもしれませんが、日本が含まれているので比べやすく、違いや共通点を見つけながら興味深く読むことができます。[Amazon日本] [Amazon日本 (日本語訳) ] [Amazon US]

This Is How We Do It