2017年1月1日にこのブログHI(NY)LIFEをスタートし、丸5年が経ちました。週1回の投稿を5年間続けるというのが一つのマイルストーンとして掲げていたため、今日の投稿を最後にひとまず終了とさせていただくことになりました。

このブログを始めるにあたって一番最初に決めて書きとめたのが、「目的」と「目標」でした。それぞれを目指すための具体的な方法も書き出し、またアウトプットする上での注意点やルールなども決めました。全て自分の中だけで決めたことなので、そして少し恥ずかしいので、これまでブログ内で触れたことはありませんでしたが、締めくくりとして振り返ってみようと思います。

目的:HI(NY)の日本でのプロジェクトを増やす

日本でのプロジェクトが実際に増えた今、日本のプロジェクトは本当にやりがいがあると思っていて、それはブランディングによって日本の素晴らしい商品やサービスを、私たちの経験を活かして正しく伝えたり、クライアントが目指す日本の未来に近づくためのお手伝いができるからで、そこに偽りはありません。また、活動を広げていく中で、私たちがやりたいこともより明確になりましたし、Ikuのライフワークである社会的養護を経験した当事者の若者を応援する活動にも本腰を入れることができました。でも実は、日本でのプロジェクトを増やしたいと思い始めた最初の理由は、そんなスマートなものではありませんでした。

まずIkuの事情からお話すると、Ikuはそれまでニューヨークが100%基盤となっていた生活を、日本と半々くらいにできるように目指していました。お祖母様の介護がしたかったから、そして高齢になりつつあるご両親を心配していたからです。一人っ子であるIkuにとって、日本にいる家族との物理的な距離は、年齢を重ねるごとに不安を加速させました。けれど仕事の関係上、日本で過ごせる時間は限られていました。それなら日本のプロジェクトを増やすしかない。そう考えたのがきっかけでした。

そして私はというと、私も家族絡みなのですが、両親に日本で活躍する姿を見せたいと思ったからです。高校卒業したばかりの娘を、異国の、ましてやニューヨークという大都会に送り出すことが不安で仕方なかったことくらい容易に想像がつきますが、両親は、私がNYに発つ当日まで不安な顔を一切見せませんでした。でも成田空港へ向かう夜行バスに乗りこんだあと、席の窓から見た母は、ポロポロ涙を流していました。私は自分自身のためにニューヨークで必ず活躍して、そしてそんな姿を見せて両親を安心させようと心に誓いました。

私は必死に勉強し、必死に働きました。やりがいのある仕事もたくさんできるようになりました。仕事の話をする度に2人は喜んでくれたのですが、いまいちピンときていないのも感じていました。どんなに大きなプロジェクトに関わろうが、どのメディアに露出しようが、結局は異国アメリカでの話。ピンとこないのは当然です。

その後私は結婚することになりましたが、それも状況をややこしくしてしまいました。もちろんGiorgioとの結婚を決めた時に、こうなると覚悟を決めていたことではあるのですが、相手が相手だったため、「私」というアイデンティティが、「Giorgio Deluca’s wife」というアイデンティティに変わってしまった部分がどうしてもありました。そう感じた場面は山のようにありましたが、母がある知人に私の仕事の話をした際に、「有名な旦那さんがバックにいるといいわねぇ」と言われたという話を聞いたとき、その時の母の気持ちを考えるといたたまれませんでした。

そんなわけで、私は両親がもっと身近に感じられるような場で活躍する姿を見せたいと思うようになったのでした。

2人ともこんなパーソナルな理由でしたが、日本でのプロジェクトも徐々に増やしていき、活動を本格化させるため2016年に日本支社を立ち上げました。ところが日本での活動はなかなか思うように進みませんでした。日本での人脈がほとんどなく、私たちもほぼ無名なので、案件数も増えない。プロジェクトが入っても、私たちの活動の主であるブランディングそのものがきちんと理解されていないため、ニューヨークで進めていたプロジェクトのやり方ではうまく進まない。この悪循環で、八方塞がりのような状態でした。

私たち自身のことを知ってもらうため、そしてブランディングをきちんと理解してもらうため、何かを発信しなければいけないと思いました。それが、HI(NY)LIFEを始めた理由の一つでした。ただその目的を果たすためには、デザインやブランディングのことだけを発信しても、ごく一部の人にしか届かないと思い、セルフブランディングの一環として、ライフスタイル全般を発信する形にしました。SNSが発信手段として主流の今、ブログという形態にするかどうかは悩みましたが、フィードで瞬時に流れるタイムリーな情報を発信するよりも、時間が経っても常に誰かにとって価値のあるものを発信したいと思いました。

結果として、記事がNY在住だった編集者の古下さんの目にとまり、出版が決定し、出版をきっかけに日本での問い合わせも増えました。かつ私たちの考えや、ブランディングを理解した上でお問い合わせをいただくようになり、プロジェクト自体も進行しやすくなりました。私は一方的に発信しているだけですが、Ikuが実際にクライアントとのコミュニケーションを丁寧にそして誠実に進めてくれているおかげで、ラポールを築きながら進めることができています。

本当のことを言うと、ニューヨーク在住の日本人の方と知り合いたいという欲も少しありました。読んでくださっている方々と実際にお会いしてみたいと思い、交流会に関するアンケートもとらせていただいたのですが、プランを立てようと思っていた矢先にパンデミックになり、開催できないままとなってしまったのはとても残念です。

目標:週1回の投稿を5年間続ける

最初に触れた通り、これが一応の目標として定めていました。2019年までは、ニューヨークのおすすめスポットを紹介するFAVORITESと合わせて週2回の更新を続けてきましたが、パンデミック後はFAVORITESはお休みしました。

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タイトルにある通り、「一旦」終了ということで、今後の予定は未定です。この場所のまま不定期に続けるか、しばらく休憩した後に再開するか、あるいは違う形態で始めるか…はまだ決めていませんが、何らかの形で続けたいと思っています。

少し話が飛ぶのですが、つい先日、息子と一緒に「人を3つの形容詞で表すなら」という遊びをしていました。息子が自身のことに対して一番最初にあげた形容詞がCurious(好奇心がある)で、父親であるGiorgioを表現するのに最初に選んだのはSmart(スマート)。対して、母親の私に選んでくれた最初の形容詞は、なんとBusy(忙しい)でした。この言葉を聞いて、すごくすごく反省しました。

仕事が忙しいのはもちろんですが、このブログを運営することが忙しさに拍車をかけているのは事実。発信する以上、中途半端なものにしてはいけない、と自分を追い込んでしまった部分があるので、再開するにしてももう少しリラックスした気持ちで続けられたらと思っています。

これまでご覧いただきありがとうございました。また再開する際にはぜひよろしくお願いいたします。

2021.12.19
Hitomi Watanabe Deluca