5月にHI(NY)ウェブサイトの刷新をお知らせしましたが、同時にオープンしたTシャツ&トートのオンラインストアについても少し触れました。今日はそのストアについて紹介しようと思います。

ストアをオープンすることになる最初のきっかけは、遡ること2019年4月。書籍出版記念してパーティを開かせていただいた際、お越しいただいた方にお土産として「Think outside the box」のオリジナルデザイントートをお渡ししました。ニューヨーク在住のためパーティには参加いただけなかった同書編集者の古下さんには後日お渡ししたのですが、その時に、「このトートを購入したい方もいると思います」と仰っていただいて、嬉しかったのを覚えています。

とは言っても当時販売するつもりは全くなく、それはオンラインショップ開設と運営の大変さを経験から学習していましたし、専任スタッフを雇用でもしない限り、とてもではありませんが手も時間も足りなかったからです。

それから約1年ほどの月日が流れ、同じく古下さんのアイデアで、同書のウェブサイトを制作、公開しました。そこでは、本に載せてある、実際にブランディングを行うためのExerciseをもとに実行するためのワークシートを無料でダウンロードできるようにしました。この時、古下さんに「ワークシートとあわせて、例のトートバッグもここで販売しませんか?」とご提案いただいたのと同時に、Printfulという、オンデマンド印刷とドロップシッピングのサービスについても教えていただきました。

左:「Think outside the box」Tシャツ、右:「There is no Planet B」Tシャツ

初期投資も在庫リスクもなく、最低限の手間と時間をかけるだけで、商品を欲しいと思っていただける方にきちんと届けることができる、という仕組みを知って、すぐに思いついたのが、利益を寄付するというアイデアでした。当時、NPOを立ち上げるためのリサーチをしていた私たちにとって、それはごく自然な流れでした。

オンデマンド印刷とドロップシッピングということで、クオリティ・コントロールができないという点で一抹の不安はありましたが、商品の質にこだわるよりも、できるだけ誰の負担にもならない方法、つまり持続可能な方法で、できるだけたくさんの寄付ができることの方がプライオリティが高いと思いました。

そうと決まると、いろんなことがスムースに動き出しました。本のウェブサイトで販売予定だったのを、より幅広い方に来ていただけるよう、独立したストアを立ち上げました。Give & Grow DonationsというShopifyアプリを利用することで、注文が入る度に自動的に利益分を寄付してくれるようにし、効率化しました。

寄付先には、Ikuが以前からライフワークとして進めている、社会的養護を経験した当事者の若者を応援するための団体に絞り、アメリカと日本からそれぞれいくつか選びました。

在庫リスクがないため、本来であれば1デザインだけで進める予定だった商品も、好きなだけ増やすことが可能に。クリエイティブなメッセージを込めたデザインのみならず、アメリカで広がるアジア人差別に対する思いを込めたTシャツ女性蔑視問題へのメッセージT環境問題へのデザインなど、さまざまなメッセージをデザインに込めることができました。6月のプライド月間には、スタッフのLGBTQメンバーと一緒に、期間限定プライドTシャツも作り、LGBTQ学生のための学校環境を改善する非営利団体への寄付を実現。これも、在庫リスクを抱えないからこそできました。

左:「Creative Thinking」トート、右:「Pride」トート

最低限の手間と時間とはいえ、それなりの時間を要しました。寄付ベースで始めるからには、せめて最初の立ち上げ作業はスタッフに頼らず、Ikuと2人だけで頑張ってみようということになり、Tシャツのデザインはもちろん、サイトの構築や開設にあたっての手続きなども全て2人だけで進めました。通常業務の合間を縫っての作業は簡単ではありませんでしたが、目的を変えたことによってよりやりがいのあるものとなり、楽しさが大変さを上回りました。

こうして5月に無事オープン。決して多い数ではありませんが、アメリカと日本からを中心に、ありがたく注文をいただいています。受注生産かつヨーロッパまたはアメリカの工場からの発送なので、お届けまでに日数をいただきますが、世界中送料無料にてお送りしています。

購入することで、世界のどこかの子供の未来を少しでも明るくするための応援ができる。そんなふうに感じながら、お好きなデザインを選んでいただけると幸いです。