Artwork by Hitomi Watanabe Deluca

コロナ感染拡大を防ぎ、収束させるための自宅待機令、外出自粛要請が日本でも発表されてしばらく経ちました。必要不可欠な施策です。外出自粛要請、学校閉鎖、在宅勤務で普段では考えられないような長い時間、家族が一緒に時間を過ごすことになります。不便で不安な中にも、いつも仕事で忙しかった家族が共に時間を過ごし、家族の絆がより深くなるというポジティブな部分がある反面、DV、身体的虐待、精神的虐待、性的虐待、ネグレクトなどの問題を抱えた家族が長時間過ごすということは、そのリスクを増やします。The New York TimesやBBCをはじめとする海外のメディアでも、自宅待機によるDVと虐待の急激な増加を大きく取り上げており、日本も例外ではありません。

失業による不安や貧困、家の中に子どもと長時間いることなどでのストレスで、養育者の沸点がいつもより下がる可能性は容易に想像できます。今までは学校が逃げ場となっていた子どもたちも、学校閉鎖で逃げ場がなくなってしまいました。家で誰にも助けを求められずにいる子どもたち、耐えられず家を出た子どもたち、虐待以外にも様々な事情から家にいられない、帰れないという子どもたち。見守る大人のいない状態で、居場所がなく街を彷徨う彼女ら彼らは、危険に取り込まれやすくなります。

日本の子どもの貧困は深刻な問題ですが、意識しなければ見えてきません。流行りのこぎれいな服を着て、スマホを片手にしている子どもたちが、実は食べるものも行くところもないということは、なかなか伝わりません。コロナの影響でインターネットカフェなどが休業となり、家をでてきた子どもたちの居場所が狭まっています。心身ともにリスクの高い環境で搾取される違法の仕事、未成年の少女たちの売春斡旋や暴力、予期せぬ妊娠や中絶など、たくさんのリスクにさらされます。

そんな状況のなか、家で耐えている子どもが気軽に相談でき、必要な支援を提供できる団体や、家を出た子どもたちに緊急避難場所を提供している支援団体があります。自宅勤務で家にいる親に声を聞かれてしまうという心配を考慮し、電話ホットラインではなくSNSやオンラインで相談できる3つのアクティブな支援団体を3つ紹介します。

MEX(ミークス)

認定NPO法人3keysが運営する、10代のための相談窓口サイトです。親や家庭の状況によらずすべての子どもたちが社会から孤立することなく安心・安全に暮らしていけることを理念としています。MEXのホームページでは、当てはまる悩みにチェックすると、都道府県それぞれにある支援を提供できる団体を紹介してくれます。

子どもたちは、助けてほしくてもどこに連絡すればよいかわからないことが多い。ここでは、お腹が空いている、暴力を受けている、安心できる居場所がないなど、様々なニーズにあった、自分の近くにある支援団体と繋げてくれます。また3keysでは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、虐待の重症化や、家にいたくない子どもたちの性被害や犯罪被害の増加などを想定し、対策を迅速に行うようなゴールを設定しています。

【支援の方法】
クラウドファンディングで支援金の寄付ができます。物品の寄付はこちら。法人の方は、支援金寄付、提携、タイアップ、自社製品などで支援できます。

一般社団法人 Colabo(コラボ)

外出自粛要請がでるなか、様々な事情から家にいられない帰れないという10代の女の子たちにむけて、東京都内で安全に過ごせる緊急ステイ先(ホテル、シェルター、シェアハウスなど)を提供しています。サポートの必要なこどもたちはツイッター(@colabo_official)、Instagram(@colabo.official)のDMやLINEからアクセスできます。また、バスを改装してつくった10代向けの無料カフェTsubomi Cafeでは、食事やマスク、お菓子、コスメ、日用品なども無料で提供しています。

Tsubomi Cafeの今後の開催予定日

  • 5月6日(水)18:00-22:00 新宿区役所前
  • 5月13日(水)18:00-22:00 渋谷・神宮通公園
  • 5月27日(水)18:00-22:00 新宿区役所前
【支援の方法】
ホームページから支援金、物品寄付(現在募集中の物品はこちら)、支援スタッフ、そして緊急避難先として部屋をいくつか提供できるホテル経営者も募集しています。

特定非営利活動法人 BONDプロジェクト

10代20代の困難を抱える女の子のための女性による支援をしている団体です。SNS、街頭パトロールなどを通して、居場所がない女の子たちの声を聞き、安全な場所(衣食住)の提供、カウンセリング、そしてその後のステップまで伴走していきます。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、様々な事情で家にいれないくなった女の子が「泊めて」とSNS上に書き込み、泊めてくれる大人を探している投稿が多くなっているそうです。女の子たちが被害や犯罪などに巻き込まれるのを防ぐため、女の子たちのSOSを聞き、弁護士や専門団体、支援団体につなげます。LINE(@bondproject)で気軽に相談できます。

【支援の方法】
ホームページから支援金の寄付ができます。
様々な問題を抱えた少年少女が、社会との繋がりを持ち、自立していくために、理解し見守りながら、就労体験の機会を提供できる事業主も募集しています。(興味のある方はメールにてご連絡ください bond@bondproject.jp

 

こんな状況のなか、少しでも誰かの手助けをしたい、できることがあれば何かしたい、と言う声をたくさん聞くようになりました。この現状をなんとかしたいと思っている大人がたくさんいるということはとても希望の持てることだと思います。ただ、不安を押さえつけて無理にポジティブになろうとして何かをする必要は全くありませんし、不安に思ってネガティブになる自分の気持ちをまるごと受け入れてあげることも非常に大切な時期です。みんなそれぞれ状況も考え方も価値観も違うので、無理なく自分の心のコンディションに添ったアクションをすることが大事だと思います。

[Artwork by Hitomi Watanabe Deluca]