2月はアメリカの黒人歴史月間(Black History Mont)。歴史を振り返り、アフリカ系アメリカ人が成し遂げた偉業を称え祝う28日間で、アメリカでは広く浸透している記念月間です。

日本に住む黒人の方々は、アメリカに比べると、人種に基づく暴力や警察の迫害がないので身の安全が守られていると話します。しかし同時に、日本人が人種差別やその歴史についてあまりに無知なので、悪意のない無意識の差別や偏見が多く、特に子どもにその傾向が強いと言われています。当然、悪意がないとはいえ差別であることには変わりなく、どんな些細な言動でも、受け手の心には傷が残ります。

以前、「人種差別について、子供たちにいつどのように教えるべきか」で、子どもに人種差別について教えることの難しさについて書きましたが、今日は、明日から黒人歴史月間が始まるこのタイミングで、子供と人種問題について学ぶきっかけになればと思い、おすすめの絵本を紹介しようと思います。

1. Rosa Parks (Little People, BIG DREAMS)|(ローザ・パークス)

Lisbeth Kaiser & Marta Antelo

「公民権運動の母」と呼ばれ、その歴史を語る上で欠くことのできないローザ・パークスの伝記絵本です。パークスの伝記絵本は10種類以上出版されていますが、その中でもおすすめがLittle People, BIG DREAMSシリーズのこの本。文章、イラストともに易しく、人種隔離や有名なバス・ボイコット事件を始めとするパークスの勇気ある闘いについて描かれています。
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2. Little Leaders: Bold Women in Black History|(小さなリーダーたち:黒人史における勇敢な女性たち)

Vashti Harrison

様々な分野で活躍し世界を変えた40人の黒人女性にスポットライトを当てた絵本。前述のローザ・パークスや詩人のマヤ・アンジェロウなど誰もが知っている人から、これまで世に知られることのなかった女性も多く含まれており、絵本の割にはそれぞれの紹介がしっかり書かれています。なお、同じ作者から出ている男性バージョンLittle Legends: Exceptional Men in Black Historyや、より小さいお子さん向けのDream Big, Little Oneなどもあります。
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3. Henry’s Freedom Box: A True Story from the Underground Railroad|ヘンリー・ブラウンの誕生日

Ellen Levine & Kadir Nelson

奴隷として生まれたヘンリー少年の残酷な生い立ちから、荷箱(=Freedom Box)に隠れるという大胆な方法でその運命から脱出するまでの有名な実話を元にした絵本です。あまりに辛い現実に目を背けたくなりますが、歴史を理解する上で非常に大事な内容で、ぜひ子供たちに読み聞かせてほしい一冊です。
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4. The Colors of Us|(私たちの色)

Karen Katz

主人公のリーナがお母さんと一緒に、自分たちも含めお友達や近所の人たちのそれぞれ違う肌の色を、シナモン、フレンチトースト、ハチミツやピザ生地など、美味しいそうな食べ物や、自然の美しい色に例えていく会話の絵本。違うことそのものを強調するのではなく、それぞれが美しいものだとポジティブに捉えることを、子どもに教えるのにぴったりの絵本です。
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5. Hidden Figures: The True Story of Four Black Women and the Space Race|(未知の数字、知られていない人)

Margot Lee Shetterly & Laura Freeman

1960年代にNASAで差別と戦いながら貢献した黒人女性を描いた2016年公開の映画『ドリーム』。その原作である『Hidden Figures』の絵本バージョンです。彼女たちの偉業はもちろんのこと、歴史や人種差別の背景に触れたり、難しい専門用語も説明とともにわかりやすく書かれています。用語集や年表などもあるので、大人でも読み応えのある1冊です。
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6. The ABCs of Black History|(黒人歴史のABC)

Rio Cortez & Lauren Semmer

その名の通り、黒人歴史をABCで紐解く絵本です。ABCの本とはいえ、かなり豊富な情報が詰め込まれていて、私自身、学ぶところの多い内容です。
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