他のキュイジーヌを試すこともありますが、我が家で作る料理のほとんどはイタリアン。時々フレンチ。
私自身、一人暮らしの頃は、料理をするのは母親の手料理が恋しいときくらいで、最低限の知識しかありませんでした。もちろんイタリアンの知識はなかったので、基礎は全てGiorgioから教わりました。Giorgioも決してプロのシェフではないので、どちらかというと感覚的な料理ですが、子どもの頃から本物の食材に触れて育ち、そして長年食のビジネスに関わってきたため、とてもセンシティブな感覚を持っています。
Dean&Deluca時代には、シェフと一緒にレシピ本を出版し、New York Timesにも、彼のファミリーレシピが掲載されたことがあります。
そして彼がこだわるのは、食材だけではありません。Dean&Delucaでは、ツールや食器などのキッチン用品を取り扱ってきました。もちろん当時お店に置く商品を選んでいたのもDeanとDeluca本人たち。そしてGiorgioは気に入ったものは自宅用にも買い揃え、そして現在に至っても、キッチン用品に関しては気に入ってしまうと必要なくても購入してしまう癖があり、そしてそれは私にも遺伝してしまい… 我が家はキッチン用品屋さんを開けそうなくらい、物で溢れかえっています。
お鍋やフライパンなどの調理器具も例外ではありません。いろんなメーカーのいろんな素材のいろんな形のものが揃っていますが、それでもやはり普段何気なく手に取ってしまうものは決まってくるものです。中でもよく使う3つのお鍋&フライパンを紹介します。
ストウブ社(STAUB)ピコ・ココット
お馴染み、そして定番の鋳物ホーロー鍋、ストウブです。他もいろいろ試してみましたが、やはり煮込みものにストウブに勝るものはないように思います。思い蓋ががっしりと閉まるので、水分が逃げず、美味しさを閉じ込めてくれます。シチューのような煮込みものを作る際には、最初にお肉に焦げ目をつける際も、別のフライパンを使う必要はなくストウブで直接できてしまうし、その旨味もそのまま使え、かつ鍋ごとオーブンに入れられるのは本当に便利。
我が家ではピコ・ココット ラウンドの10cm, 14cm, 18cm, 22cm, 26cm, 32cmを使用。2~4人分用のシチュー類を作るときに一番よく使うのが22cm。それより少し多い人数分を作るときや、大きいお肉をローストするときは26cmで、32cmを使用するのはディナーパーティをするときくらいです。10cmは塩入れとして使い、14cmは、シチュー類の残りものを保存しておくために使うことがほとんど。
ロッジ社(LODGE)スキレット
フライパンもいろんなメーカーや素材を常に試していますが、結局いつも戻ってしまうのが、スキレット。我が家で使用しているのは、キャストアイアン調理器具で有名なアメリカのロッジ社のものです。鋳鉄のフライパンは、最初だけは使用後のシーズニングをきちんとしないといけませんが、一旦馴染んでしまえば、錆やお手入れ、くっつきとは全く無関係、これほど使い勝手のいいフライパンは他にありません。見た目の通りとってもタフで、10年以上毎日ガバガバ使ってたわしでゴシゴシ洗っていますが、びくともしません。使えば使うほど、使いやすくなるのです。
ストウブと同様、鉄なので熱するのには時間がかかりますがその分蓄熱性が高いので、食材を入れても温度が下がらず、かつ保温性もあります。高熱に強く、油から煙が出るほど熱くしてからお肉を焼けるので、こんがり焼くことができ、そしてオーブンにそのまま入れられるのも嬉しい。我が家には全部で6サイズ[3.5インチ(9cm), 6.5インチ(16.5cm), 8インチ(20cm), 9インチ(23cm), 10.25インチ(26cm), 12インチ(30.5cm)]ありますが、普段使うのは8インチ、9インチ、10.25インチの3つがほとんどです。
ムヴィエール社(Mauviel)の銅鍋(カッパー鍋)
スキレットとは逆に、デリケートで手入れの手間がかかる銅鍋ですが、だからこそ愛着も湧きます。銅はなんと言っても、銀に次ぐ熱伝導率の高さ。ステンレスよりも22倍熱が伝わるのが早いと言われ、お湯が沸くのも早いので、我が家ではやかんも銅製を使用しています。また、熱を均一に伝えるのも銅鍋が一番優れているので、ムラ煮えや部分的な焦げ付きもしません。プロに愛用されるのも納得です。
熱を均一に伝えるという特性を活かして、我が家ではソース類を作る際に使います。
その芸術的な美しさももちろん銅鍋の特徴。それだけ値段も張りますが、きちんと手入れをすれば一生ものの鍋です。
[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]