以前、私がお菓子作りを始めたきっかけと、合わせてパートブリゼのレシピを紹介しました。今回、そのパートブリゼを使ったりんごのタルトの作り方を紹介します。
生地のバターの香ばしい香り、クリームの甘い香り、そしてりんごの甘酸っぱさ、という最強な組み合わせのこのタルトは、ピザのような薄い仕上がりで、1人でペロリと平らげてしまいそうになるほどです。生地を型にはめるという作業を省いているので時短、かつ生地をカットしないので無駄が出ないという嬉しいおまけも。けれど見た目も美しく、味も文句なしに美味しいので、家族や友人に出しても絶対に喜ばれます。
りんごは、今回波紋状に並べることによって、お花のような見た目に仕上げましたが、整列させたりなど、いろんな並べ方ができます。
生地は、このレシピの分量で作った生地の半分を使用します。2人で食べるのにちょうどいいと思います。作った生地は、最低1時間は冷蔵庫で冷やしてから使ってください。できれば2-3時間冷やすと、グルテンがしっかり引き締まります。もし生地を冷凍しているならば、使う前日に冷蔵庫に移し、一晩かけて解凍させます。そして使う直前まで冷蔵庫で冷やしておきます。
クリームについて
クリームは、クレーム・アングレーズ(Crème Anglaise)を使うことによって、軽い仕上がりになるようにしています。クレーム・アングレーズとは、カスタードクリームに似ていますが、小麦粉を使わないため、カスタードクリームよりもさらっとしています。ほとんどスープ状のクリームです。
使用するりんご
基本的にはどのりんごでも美味しくできます。あえて言うならば、アップルパイなどには向かない、柔らかめのりんごがこのタルトには向きます。さらには、甘みの強いりんごよりも、酸味もきちんとあるりんごの方が美味しく仕上がります。アメリカで手に入るりんごであれば、マッキントッシュ(McIntosh)やコートランド(Cortland)などがおすすめ。
生地を伸ばす時のコツ
このレシピ通りに生地を作ると、生地の中にバターがまだらに残っている状態となっています。生地を伸ばす際にも、このまだらなままキープすることがとても大事で、そうすることによって、焼き上がりがサクサクできれいな層に仕上がます。
バターを溶かさないように生地を伸ばすには、極力手で触らないようにすること、そして手早くすることが大事。そこで私がいつも使っているメソッドを紹介します。
まず、生地を冷蔵庫から出す前に道具を全て準備。めん棒、打ち粉(小麦粉)、ワックスペーパー、の3つです。
ワックスペーパーを広げ、打ち粉をします。そこに生地を置いた後、再度上から小麦粉をふりかけます。この時、小麦粉が多いとパートブリゼの繊細さがなくなってしまうので、必要最低限に抑えます。
ここからめん棒で伸ばしていきますが、ポイントは、めん棒を生地の中央から奥に向かって押し出すように伸ばすこと、そしてそのめん棒を手前に戻さないことです。次に、生地をのせたワックスペーパーごと、45度ほど回転させます。そしてまた中央から奥に向かって伸ばします。これを45度ずつ回転させ繰り返します。生地がワックスペーパーやめん棒にひっつきそうになる前に、打ち粉をしながら生地を(手で)ひっくり返します。
こうすることによって、直接手で生地を触るのはひっくり返す時だけなので、バターを溶かしてしまう危険が少なくなります。
また、伸ばす作業を、押し出す作業に統一することによって、力の入り具合が均一され、よって生地の厚さも均等になり、かつ綺麗な円形を作りやすくなります。
また、生地は(手であれ、めん棒であれ)扱えば扱うほど、グルテンが出てきてしまいます。グルテンが出すぎると、焼き上がりが硬くなってしまいます。
この方法だと、素早く、そして修正なく生地を伸ばすことができるので、無駄なグルテンを出してしまう恐れもありません。
[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]