パンデミックによって、ニューヨーク市の学校が2020年3月に閉鎖になってから先週でちょうど1年が経ちました。同年9月から一部再開し、その後閉鎖と再開を繰り返しながら、現在息子の学校では週に2-3回の登校とリモートクラスを併用したハイブリッド型で進められています。

リモートに切り替わった直後は学校も家庭も大混乱でしたが、新学期からは学校側も準備万端で、さまざまなオンラインサービスを駆使したリモートクラスが始まりました。学校の切り替えの早さと柔軟さ、そして上手に設計されたそれぞれのツールに感嘆したものです。今日はそれらオンラインサービスのウェブサイトやアプリについて紹介したいと思います。

学習管理システム:Google Classroom

クラス内のお知らせ、先生や他の生徒とのコミュニケーション、課題やその提出と採点などがシームレスに行うことができる、Googleの無料サービスです。科目(先生)ごとにクラスが分かれていながらも、それぞれの宿題を一覧で管理できたりととても便利です。以前からすでに広く利用されていましたが、パンデミックで学校閉鎖になってから利用者が2倍に増え、ユーザーは世界でなんと1億人とも言われています。先生が作るいわゆる「プリント」も、Google Doc, Google Slides, Google Formsが取って代わっています。

ポートフォリオ(宿題プリント)管理:Class Dojo & Seesaw

Google Classroomと同じLMS(Learning Management System=学習管理システム)ですが、特に宿題プリント管理に特化しているのがこの2つ。先生がその日ごとに動画や音声、写真、そして課題プリントPDFをアップロードしてくれるのですが、なんと言っても便利なのが、アプリ上でそのPDFに直接書き込んで、ボタン一つで提出できる点。iPadなどのタブレットと、Apple Pencilなどのタブレットペンを使えば、プリントを印刷する時間も資源も無駄にならず、とても効率的です。そして提出した課題や作品は、クラスのみんなとシェアでき、そこからまた学んだり、お友達の作品にコメントを残したりもできます。

スマホやタブレットに慣れていない子どもでも直感的に使えるようなデザインで、また文字を読むことができない就学前の子どもたちも利用できるような仕組みになっているのが素晴らしいです。

他にも、使用したことはありませんがNearpod, Canvas, Schoology, Classkickなどが、学習管理システムとして広く利用されています。

PDF書き込みツール:Kami

Google Classroomは先述のClass DojoやSeesawのように直接PDFに書き込みできる機能はないのですが、それを可能にできるのが、このKamiというGoogle Chromeの拡張機能。Google ClassroomにアップロードされたPDFを、ボタン1つクリックでKamiで開くことができ、自由に書き込んだりコメントしたりして、そしてまたボタン1つでGoogle Classroomで課題提出を完了させることができます。

動画ベースの学習プラットフォーム:Flipgrid

先生・生徒間、生徒同士間のやりとりが全て動画で行えるサービス。先生の課題も、それに対する提出物も動画で投稿、さらにはクラスメートが提出した動画に対するコメントも動画です。アメリカのほとんどの小学校で取り入れられているメジャーなツールで、息子の学校では主にダンスのクラスで使用しており、他の生徒たちのクオリティの高い動画を見ては楽しませてもらっています。

共同作業アプリ:Padlet

1つのテーマに沿って、クラスのみんながコメントを書き込んだり、写真&動画を貼り付けたりすることができる、掲示板のようなアプリです。

Zoom ブレイクアウトルーム

リモートクラスは全てZoomで行われていますが、私自身の仕事のミーティングでは1度も使ったことがないけれど息子のリモートクラスでは頻繁に使用されているのがブレイクアウトルーム。1つのクラスを複数に分割して、グループ作業を行うことができる機能です。

本作成アプリ:Book Creator

実際の学校のクラスでは、スペルや文法などの学習方法の一環として本を作成することがよくありますが、それのデジタル版がこのBook Creator。写真を足せるのはもちろん、文字のフォントやサイズ、色なども変えられるので、デザイン的な要素も含まれているのが嬉しいところ。

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以上になります。小学生の中でも低学年に特化したツールなので、学年が上がるにつれてさらにたくさんの便利なオンラインサービスがあると思います。

新学年になる9月からは恐らくフルタイムの学校生活に戻ると予想されますが、これらの便利なサービスは継続して使うべきだと思っているくらい秀逸なものばかり。パンデミックによって、教育のあり方も大きく見直すきっかけになりましたが、このような教育デジタルインフラの発達は、より多くの子どもたちにチャンスを与え、教育の国境を超え、より自由な教育方法を選択することができる未来への可能性を感じています。