今日紹介するのは、ストーンフルーツのパイ。
Stone Fruits、つまり「石の果物」という意味ですが、これは石のように大きくて硬い1個の種をもつ果物のこと指します。代表的なのが、桃、プラム(すもも)、ネクタリン、アプリコットなど。他にもさくらんぼやマンゴーなども含まれますが、今回パイのフィリングとして指しているのは前者の桃グループです。
これまでに、アップルパイ、ブルーベリーパイ、洋梨パイなどのパイレシピを紹介してきましたが、実は我が家で最もよく焼くフルーツパイは、このストーンフルーツパイ。私やGiorgioが個人的に好きというのもありますが、他の果物に比べて旬があるため、夏になるとここぞとばかりに続けて焼くことが多いです。
ストーンフルーツは種類が多いのも、焼く頻度が多い理由の1つ。ニューヨークで手に入る主なストーンフルーツは以下の通りで、これら全てパイで使ったことがありますが、それぞれの良さがあってどれも美味しいです。その時手に入る一番美味しそうなものを使ってください。違う種類のものを混ぜるのもOK。
White Peaches 白桃
Yellow Peaches 黄桃
White Nectarines ホワイトネクタリン
Yellow Nectarines イエローネクタリン
Black Plums ブラックプラム
Yellow Plums イエロープラム
Italian Plums イタリアンプラム
Apricots アプリコット
Pluots/Plumcots プルオット/プラムコット(プラムとアプリコットの交配種)
アップルパイやブルーベリーパイと比べてストーンフルーツパイの少し難しい点といえば、果物のクオリティによってパイの仕上がりも大きく左右される点。当然ですが、果物が美味しければ美味しいほど、パイも美味しく仕上がります。熟し加減も、ちょうど食べごろの硬すぎず柔らかすぎずの状態がベスト。香りも甘みもないストーンフルーツもごく頻繁に見かけるので、よく見極める必要があります。甘さが少し足りない場合は、砂糖の分量を増やすことでなんとかなりますが、やはりできる限り果物そのものの甘みに頼りたいところです。
ニューヨークでは年中ストーンフルーツが手に入りますが、やはり旬以外の時期に手に入るものは香りが低いものが多く、ちょうど今の時期7月辺りからNY近辺のストーンフルーツも手に入りやすくなります。

ストーンフルーツも水分が多いので、ブルーベリーパイのように一部冷凍のものを混ぜてみたりもしましたが、やはり香り高い果物なのでどうしてもそれでは納得のいく仕上がりにならず、生のもののみを使用するのが最適だと判断しました。アップルパイと同様、一晩かけて水分を抜きをしますが、ストーンフルーツの香りと旨みを最大限に活かすため、水抜きで溜まった汁を煮込んでドロっとさせてから、最後にパイ型に詰めた果物の上にかけます。このひと手間が確実に差を作りますが、たまに怠けて省いてしまうこともあり、それでも十分美味しいので、面倒な方はスキップしても大丈夫です。
今回この撮影用に使用したのはイエローネクタリン。生でもとても美味しかったですが、パイにすることで香りは倍増、バター風味のパイクラストとの相性も抜群です。そしていつもは生クリームと一緒にいただくところ、今日は特別にバニラアイスクリームと。とろける美味しさでした。
パイ生地はいつも通り、「アメリカンパイ生地の黄金比ができるまでのプロセスとレシピ」で紹介した生地を使います。


[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]