ニューヨークに外出禁止令が出てまもなく2ヶ月が経とうとしています。新規感染者や死者数の減少と比例して、緊迫感や悲壮感も以前に比べて弱まってきました。ニューヨーク州北部や中部の限られた地域は、15日から一部事業が再開され、このまま減少が続けば、ニューヨーク市内の一部経済活動も6月から再開される可能性があるとのことです。
さて今日紹介するレシピは、ブルーベリーパイ。これまでに「アメリカンパイ生地の黄金比ができるまでのプロセスとレシピ」でパイ生地のレシピ、そしてその生地を使ったクラシックなアップルパイのレシピ「デルーカ家のアップルパイ」を紹介しました。アップルパイほどではないにせよ、ブルーベリーパイもアメリカの定番パイの1つで、どのアンケートでも人気パイランキングの5位以内には入っている、とてもポピュラーなパイです。
私自身、パイ生地の研究を始めてパイを頻繁に焼くようになってからもブルーベリーパイは全く手付かずで、それは馴染みがないせいか魅力を感じられなかったためですが、私が一番好きなパイ屋、Briermere Farmsのブルーベリーパイを試したときに考えを改めました。そのあまりの美味しさに、これまで過小評価をしていた自分を恥じました。
作るにあたって前もって調べたところ、ブルーベリーは水分が多いので、そのまま焼くとパイの半分くらいがジュースの状態でスプーンなしでは食べらないような出来になるとのこと。確かめるために実際に焼いてみると、美味しいものの、面白いくらいその状態に仕上がりました。そこで、この水分をどう処理するかが課題となりました。
一般的には、その水分にとろみをつけるのが解決方法で、小麦粉やコーンスターチ、タピオカなどがよく使われます。どちらも試してみましたが、やはりアップルパイと同様、とろみが多いと舌触りが悪く、商業的な味になってしまうので、できるだけ使う量を減らす方法を考えました。
そこで、ブルーベリーを前もって煮込んで水分を飛ばす方法を試しました。水分は予定通り減らすことはできたのですが、同時にベリーの風味も損なわれてしまい、却下。
さてどうしようと思っていたある日、翌朝パイを焼く予定なのに家に生のブルーベリーが少ししかないのに気づき、仕方なく冷凍ブルーベリーを使うことに。一晩かけて冷蔵庫で解凍したのでした。すると翌日、解凍したベリーから大量の水分が出ているのを発見。何やらいい予感がしながら、生のブルーベリーと解凍したものを合わせて焼いてみると、狙い通り!美味しさを損なわずに水分を減らすことができました。ただこの時は冷凍ブルーベリーの割合の方が多く、やはり生ベリーのみの時に比べるとフレッシュな風味がやや落ちるので、その後、5:5の割合にすると一番いいバランスになりました。
コーンスターチも半分以下の量まで下げることができ、ブルーベリーのジューシーさも活かしながらの、甘酸っぱい最高のパイが出来上がりました。
我が家では砂糖を入れないホイップクリームといただくのがお気に入り。アップルパイと同様、我が家のパイはギリギリまで甘さ控えめなので、甘いのがお好きな方は砂糖の分量を増やすか、砂糖を入れたホイップクリーム、またはアイスクリームと一緒にどうぞ。
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