先週はハロウィンでした。去年はジュゼッペ・ヴェルディの格好をさせましたが、今年は、17世紀頃にイギリスからアメリカに移ったピューリタン、ピルグリム・ファーザーズに。去年と系統が似てしまいましたが、今年も本人が喜んでいたので、十分満足です。
さて1ヶ月ほど前に、「アメリカンパイ生地の黄金比ができるまでのプロセスとレシピ」でパイ生地のレシピを紹介しました。今日はその生地を使ったパイ、中でも最もクラシックなアップルパイのレシピを紹介しようと思います。
アメリカのパイといえば何と言ってもアップルパイ。INSIDERが去年行なった「州別好きなパイ調査」でも、全米50州中、45州がアップルパイを最も好きなパイと選んだほど。それほどまでに、アップルパイはアメリカの国民的デザートなのです。
一見単純で簡単そうに見えるアップルパイですが、一朝一夕では満足できるクオリティのものはできず。見かけによらない奥の深さに、心はときめくばかりです。
理想的なアップルパイを作る上で試行錯誤したポイントを、3つに分けて説明します。
リンゴの種類
焼いた後でもきちんとリンゴの形が残り、柔らかくなりすぎない、硬めのリンゴであること、そして酸味の強いものと甘みの強いものをミックスするようにしています。
酸味の強いリンゴといえばグラニースミス。生で食べると顔をしかめるほど酸っぱいグラニースミスは、アップルパイに使うリンゴとしておそらく最もポピュラー。美味しいアップルパイは、甘さの中に程よい酸味があってこそで、グラニースミスなしではクラシックな味は出せません。
対照に甘みが強く、硬めのリンゴとして使用しているのは、Gala、Fuji、Honeycrispなど。どれもニューヨークで手に入りやすく、安定した甘みがあります。
酸味リンゴと甘みリンゴの割合はおよそ5:5ですが、全体で使用するリンゴの数が奇数の場合、その日食べたい気分の味で決めています。
フィリングはリンゴと砂糖のみ
アメリカのアップルパイのほとんどに、何らかのスパイス、主にはシナモンやナツメグが使われていますが、我が家では何も入れていません。特にシナモンはその風味が強く、どうしてもリンゴよりも存在感が強くなってしまうので、りんごの味を引き立てる程度までにと徐々に減らしていったら、結局ゼロになった、という話。アップルパイに関しては、リンゴの素材を最大限に楽しむには余分なものはいらない、というのが結論です。
ちなみに塩キャラメルアップルパイやバーボンアップルパイなどを作ることもありますが、やっぱりシンプルなアップルパイが一番好きです。
リンゴの水抜き
アップルパイを焼くときにありがちな失敗といえば、水分が多すぎて下の生地がべちゃっとしてしまうこと。リンゴから出る水分によるためですが、この対策として、コーンスターチや小麦粉とあえることでとろみをつけるのが一般的。けれど、私はとろみがあまり好きではなく、またとろみをつけてもやはりべちゃっとすることが多かったので、代わりにリンゴの水抜きをしています。
焼く2時間以上前にリンゴをカットして、砂糖とレモン汁につけておくことで、ある程度のリンゴの水分がボウルの底に溜まります。さらに時間に余裕のあるときは、この溜まった汁を火にかけて凝縮させてからまたパイに戻す、ということもしますが、基本的にはこの余り汁は使っていません。
前日の夜のうちにカットしておいて、冷蔵庫で一晩水抜きをすることも可能です。
番外:リンゴの切り方
皮はお好みですが、焼いたときにどうしても皮が口の中に残るので、私は剥いています。カットの仕方は、下の図の通り。
甘さ控えめ
我が家のパイは極限までに甘さ控えめです。一般的なアメリカンパイで使う砂糖の量の1/5程度しか使っておらず、ほとんどリンゴの素材が持つ甘みだけの甘さしかありません。ですので、甘いのがお好きな方は砂糖を増やすか、砂糖を入れたホイップクリーム、またはアイスクリームと一緒にどうぞ。
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[Photos and styling by Hitomi Watanabe Deluca]