明けましておめでとうございます。昨年はHI(NY)LIFEをご愛読いただき、 ありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

新型コロナの感染拡大によって日常生活と価値観が180度変わってしまった2020年。HI(NY)LIFEでは記事のカテゴリーを「LIVING IN (NY)」「WORKING IN (NY)」「PARENTING IN (NY)」「EATING IN (NY)」「TRAVELING」の5つに分けていますが(ニューヨークのおすすめスポットを紹介する「FAVORITES」はコロナの影響でお休みしています)、それら1つ残さず大きく変化した1年でした。今日はそのそれぞれ変化について、そして2021年に発信していきたいことについて書きたいと思います。

LIVING IN (NY)

ニューヨークでの生活という意味では、去年の暮れに「【新型コロナウイルス直撃から9ヶ月】ニューヨークのいま」で書いた通り、世界のエピセンターになった頃ほどの緊張感はないにせよ、気の抜けない生活が続いています。

どこの家庭もそうだと思いますが、街がロックダウンになった直後は、これまでに経験したことのない密度での家族との時間、外と関わりが一切ない家族だけの時間が数ヶ月続きました。家族といえども程よい距離が必要だと思っている私たちにとって、それは苦痛でした。特に私は仕事の忙しさがそのまま比例して、ストレスという形で家族への態度に現れてしまい、家庭の中に負のエネルギーを充満させてしまいました。充満していることに気づいても、それを対処する余裕は到底なく、一度は爆発して子供のようにわんわん大泣きしたこともありました。

一時はどうなることかと思いましたが、慣れとはすごいもので、絶対無理だと思っていた生活が日常になりました。

家族はというと、Giorgioにとっても変化の1年でした。まず決して驚きではありませんでしたが、今春Dean&Deluca (US) が米破産法の適用を申請。「Dean&Delucaの始まり」でも触れたとおり、2014年に前オーナーから別の会社がDean&Delucaを買収し、新オーナーの動向を楽しみにしていましたが、Giorgioたちが大切にしていたD&Dのアイデンティティが取り戻せられないまま、悲しい終わりを迎えてしまいました。Giorgio自身は、96年に過半数株式を投資家に売却してからは運営に関わっていないため、その後の方向性のブレや、目先の利益を追う経営の仕方をいち顧客としての目線で見てきたので、今回の経営破綻は「来る時が来た」という感じでしたが、それでももちろん本人はとても落ち込んでいました。

さらには2002年から経営していたレストランGiorgioneも今年1月に閉店しました。実はこれに関しては当の本人だけは安堵で清々しい気持ちでおり、私の方が断然ショックを受けていたのですが、それでも20年近く続けてきたレストランですから、生活が一変したことには変わりありません。コロナの感染が拡大する前だったので、最後に常連さんで祝うことができたのはせめてもの救いでした。

2020年の「LIVING IN (NY)」は必然的にコロナ関連の投稿が続きました。ワクチンの普及が遅れているため、2021年のニューヨークの生活はまだまだ制限が多く不安と緊張が続いていく見込みですが、以前のようにNYの生活についてや、去年始めた『「作る」女性たちシリーズ』も引き続き行っていきたいと思っています。

WORKING IN (NY)

2020年は、HI(NY)が大きく成長した年でもありました。

コロナ禍によってリモートワークに切り替わり、引っ越したばかりのNYオフィスが無人化してしまいました。その後私たちはROWEという働き方を無期限で取り入れることを決断。やがて京都オフィスもより働きやすい環境を作るために引越しを決め、1年のうちに両方のオフィスが移転となりました。

ROWEを取り入れたことによって、世界中どこからでも人を雇えることになり、より良い人材に出会えるチャンスが増えた一方、選択肢も増えてしまい、ただでさえ苦手な人材採用がより難しくなりました。そんな中でも、ニューヨークとミラノでそれぞれ素晴らしい人材に巡り合え、京都でも優秀なインターンが参加してくれました。フリーランスも合わせると現在6カ国に渡ってスタッフが点在しており、時差の問題は全くないとは言い切れませんが、HI(NY)に合った働き方を見つけられたのは幸いでした。

これまでクリエイティブの比重が大きく、経営という意味で会社としてのバランスが決して良いとは言えませんでしたが、新しいスタッフのおかげでクリエイティブとビジネスの均衡が上手く取れるようになったのは、去年の大事な成長部分でした。

さらに去年私たちは、コロナ以外にもこれまでに経験したことのない壁にぶつかりました。その壁のあまりの迫力に、体力にかなり自信のある私ですら自分の心身の状態に不安を覚えたほどでした。それほどのインパクトでした。

これまでの私たちなら、その壁を素手で叩き割ることが解決策だと信じて疑いませんでしたし、その方法しか知りませんでした。そしてその度に自分たちも、そして他の誰かも、無駄な傷を負いました。けれど今回は、立ちはだかった壁を前に、私たちは一歩下がってよく観察し、そして手や足がほんの少しでも引っ掛かる部分を見つけてはよじ登っていきました。見たことのない高さの壁で、手も足も痛みを伴いましたが、結果私たちは、全員無傷で登りきることができました。本当に辛い経験でしたが、会社としての成長を感じることができました。

2020年は、ブランディングの他に、日本の若いデザイナーたちの地位向上のための情報なども積極的に発信できるよう心がけましたが、今年も続けていければと思っています。

PARENTING IN (NY)

人生で一番辛かった出産後2ヶ月間以来の試練の年でした。仕事の忙しさと、学校のリモートクラス管理や宿題サポートの負担の大きさが相まって、毎日イライラ怒ってばかりでした。

あまりに毎日イライラしているので、コロナ禍によって子供と過ごす時間が増えて嬉しいと話す人が多い中、我が家は逆に子供へ悪影響なんじゃないかと不安でした。そんな私たちのイライラや不安を息子なりに感じ取ったからか、もともと愛情表現を惜しまない息子が、さらに私たちに愛情を示すようになり、親として情けない気持ちになりました。でも忙しいながらにその愛情をきちんと受け止めることで、家の中のネガティブなエネルギーがポジティブなものに目に見えるように入れ替わっていきました。絆という言葉を使うのは小恥ずかしいですが、コロナの状況がなければ生まれなかったであろう強い繋がりが生まれたのは確かです。

息子も5歳になり、子育てに関する投稿も減ってきましたが、今後も仕事との両立や海外での子育てについて、拙いながらに発信できればと思います。

EATING IN (NY)

外食はできなくなりましたが、家での食事は大きな変化はありません。変化といえば、買い出し回数を減らすために、1週間の献立計画とその買い出しをまとめてするようになったことくらいです。

ロックダウンになってから、1週間ごとに決めた献立もこんなに溜まりました。

今年も料理とお菓子のレシピを交互に紹介していく予定です。

TRAVELING

去年の始めに書いた「カリブ海の島・アンティグア|おすすめスポット22選」がもう何年も前のことのような気分ですが、当然去年はそれが最初で最後のTRAVELING投稿でした。毎年恒例だった夏休みの一時帰国も去年は泣く泣く諦めましたが、今年はワクチンがきちんと普及して、どこかに行けることを願うばかりです。